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日本「一人負け」からの脱却:コーポレートガバナンス


 今年1月、総理官邸での会議で、民間有識者の小林喜光氏から「日本の企業は一人負けしている」、「低収益な事業を抱え込み過ぎている」といった厳しい指摘がとんだ。

ガバナンス改革が急務

 なぜ、一人負けしているのか。その理由を、小林氏は「強い部門を伸ばし、弱い部門を捨てる、という当たり前の経営判断ができていないからでは」と分析する。この状況を変えるには、企業の経営のあり方そのものである、コーポレートガバナンスの改革が急務だ。

コーポレートガバナンス・コード

 2年前の平成27年には、東京証券取引所が、「コーポレートガバナンス・コード」を発表し、上場企業に適用した。そこでは、取締役会の責務として、企業戦略の方向性を示すことや、リスクが取れる経営環境を整備すること、などが示された。

具体的な検討事項をガイドラインに

 このたび経済産業省は、法務省や金融庁と協力して、CGSガイドラインを公表した。そこには、企業の稼ぐ力の強化のために有意義と考えられる具体的行動が多数盛り込まれた。

ガバナンス改革、何に着手?

 ガイドラインでは、例えば、取締役会では経営戦略を議論し、瑣末な事項は社長以下に権限委譲するなど、企業の状況に応じた取組例を示した。また、社外取締役の知見を活かすための具体策を多数示した。果断な意思決定を躊躇させる要因になるとの指摘がある相談役・顧問については、その役割を明確化して外部に情報発信することを検討すべきとした。
 コーポレートガバナンス改革の必要性は多くの企業が認識しているが、具体的に何をしたらいいのかわからないという声が多い。そんな企業にとって、ガイドラインの豊富な取組例は力強い味方になるはずだ。

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