統計は語る

公共工事の不調響く 6月の建設業活動指数

3カ月ぶりに低下、下げ止まりの兆しも予断許さず

3か月ぶりの前月比低下

2018年6月の建設業活動は、前月比マイナス2.5%と3か月ぶりの低下で、指数値は113.4となった。
建設業活動指数は、昨年度中、低落傾向で推移し、今年3月に急落して、昨年度の最低値となった。6月の指数値は、この3月の指数値をかろうじて上回ったが、113台の水準にまで下降した。
4月、5月は1年ぶりの前月比連続上昇と復調の兆しもあったが、この連続上昇分の3.0指数ポイントのうち、6月単月で2.9指数ポイント低下と、結果的に弱含み傾向は解消しなかった。

ただ、後方3か月移動平均値をみると、弱含み傾向にあるなか、下げ止まりの兆しが確認できる。
2018年第2四半期は、前期比0.6%と4期ぶりの上昇、指数値も115.2と前期第1四半期、昨年第4四半期を上回る水準にまで戻り、四半期ベースでも下げ止まりの兆しがみられる。

住宅建築は唯一、上昇も

6月の建設業活動では、民間発注工事が前月比マイナス0.9%と3か月ぶりの低下、公共工事が前月比マイナス4.5%と2か月連続の低下と弱い動きだった。6月の建設業活動全体の低下は、公共工事の不調が大きく影響した。

民間発注工事では、住宅建築は前月比0.2%と3か月連続の上昇、他の4事業がマイナスとなるなか、唯一上昇した。ただ、連続上昇とはいえ上昇ペースは緩やかであり、弱含み傾向から抜け出したとはいえない。
非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス0.4%と2か月連続の低下、2015年以降は長期に渡る上昇傾向にあるが、連続低下は2015年10~11月以来のこと。ただ、低下幅は先月、今月とも小さく、指数値は高い水準を維持している。 民間・土木は前月比マイナス0.7%と2か月連続の低下だった。これら企業の設備投資関連工事は、高止まりの様相だが、これまでに比べやや動きが弱くなっている面もみられる。
公共工事では、公共・建築(庁舎、学校、病院など)は前月比マイナス1.2%、公共・土木は前月比マイナス5.0%と、ともに2か月連続の低下だった。もともと不安定な動きをみせる公共工事だが、ここ2か月の動きは弱いようだ。
2018年第2四半期では、民間発注工事が前期比マイナス0.4%と2期ぶりの低下、公共工事が前期比0.1%と4期ぶりの上昇だった。

下げ止まりの兆しも

2018年6月の建設業活動は、4月、5月の順調な動きの反動減もあり、前月比大幅低下、指数値も昨年度の最低値に近い113台まで後退した。
内訳事業では、民間住宅建築の動きの弱さ、公共工事の動きの不安定さが続くなか、これまで力強い動きで建設業活動全体をけん引していた民間投資関連工事には、高止まりの様相もみられる。
ただ、建設業活動全体でみれば、第2四半期は4期ぶりの前期比上昇と、弱含み傾向のなかにも下げ止まりの兆しがみられる。低調だった6月の動きを挽回できるのか、来月以降の動きに期待したい。

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