統計は語る

余暇を楽しむスポーツ 世代別の実態が明らかに

ゴルフやボウリングは主要顧客離れ


 第3次産業活動指数(以下、サービス指数)は、「観る」スポーツである「プロスポーツ(スポーツ系興行団)」の他に、「やる」スポーツである「スポーツ施設提供業」の指数を公表している。今回は、「やる」方のスポーツ指数について、余暇行動という視点から、どんな特徴があるのか、みてみよう。

スポーツ施設提供業者指数でみると

 左下のグラフは、スポーツ施設提供業指数の推移である。おそらく東日本大震災の影響もあって、2011年に大幅に下落したものの、翌2012年に回復し、その後は一進一退の横ばい傾向で推移している。
 本指数は、「やる」スポーツを代表して、「ゴルフ場」、「ゴルフ練習場」、「ボウリング場」、「フィットネスクラブ」の施設利用者数に基づいて作成されているが、右下のグラフで内訳の推移を見ると、上昇著しい「フィットネスクラブ」、横ばいの「ゴルフ場」及び「ゴルフ練習場」、下落の「ボウリング」と三者三様である。

    

ボウリングは「若者型」

 総務省が行っている、余暇の過ごし方に関する統計である「社会生活基本調査」(以下、生活調査)では、種目×年代別に、その年代の人口の何%の人が余暇にその活動を行っているかを表す「行動率」を公表している。

   

 上のグラフが、ゴルフ(ゴルフ練習場含む)とボウリングの行動率。両者を見比べると、主要な顧客層が異なることが分かる。「ゴルフ(ゴルフ練習場含む)」は40~50代の行動率が高い「中年型」、「ボウリング」は10~20代の行動率が高く、「若者型」と言えるだろう。

   

 上のグラフは、行動者数(余暇にその種目を行った人の数)の前回調査比の年代別寄与度分解のグラフ。ゴルフは40~50代の、ボウリングは10~20代の下落寄与が長年にわたって大きかったことが分かる。
 すなわち、「やる」スポーツ指数のうち、動きの芳しくないゴルフやボウリングでは、主要な顧客層がプレイしなくなっていることになる。生活調査によると、ゴルフもボウリングも、それぞれ10年前の40~50代、10~20代と比べて、主要な顧客層の行動率が下落していることから、人口だけでなく人気が落ちたことが行動者数を減らしているようだ。
 ただし、いずれも最も新しい2016年調査回では主要顧客のマイナス寄与が縮小しており、底を打とうとしているようにも見える。

リタイア世代が下支え

 このように、主要な顧客が離れると、サービス指数の下落が激しくなるようだが、他方、主要な顧客ではないながらも、60代、70代でゴルフやボウリングを楽しむ人が増えていることが、指数の下落ショックを和らげていることも分かる。特に、その傾向はゴルフで強いようだ。
 安部首相とトランプ大統領もゴルフを通じてコミュニケーションを図ったり、老若男女が参加できる親睦会として、ボウリング大会が開催されることもある。主要顧客の呼び戻し、その他の世代の呼び込み、いずれにも取り組む余地はありそうだ。
 このように、サービス指数と他の統計とを照らし合わせると、景気の良し悪しだけでなく、自分や身近な人の行動が産業活動に影響を与えていることを実感できるのではないだろうか。

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