60秒早わかり解説

業界共通の指標で省エネの取り組みを測る

導入広がるベンチマーク制度


 化石資源に乏しい日本は、貴重なエネルギーを効率的に使う必要があり、従来から時代の変化に合った省エネの手法を活用してエネルギー消費効率の向上に努めてきた。
 これにより、経済成長と同時に世界でトップクラスの省エネを実現している。

きっかけは「オイルショック」

 1973年と1979年の二度にわたり、日本を見舞ったオイルショック。化石資源に乏しく、国内で消費されるエネルギーの多くを海外からの石油の供給に頼っていた日本の経済は、オイルショックによって大混乱に陥った。
 それを契機として、エネルギーを効率的に使用していくことを目的とした「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」、いわゆる「省エネ法」が1979年に制定された。

省エネを促す新たな仕組みの必要性

 省エネ法では、工場や事業場、輸送事業者、荷主、機械器具などを製造・輸入している事業者、エネルギー小売事業者を対象に省エネへの取り組みの規範を示し、努力を求めている。
 また、一定規模以上のエネルギーを使用している事業者に対して、年に一度、エネルギーの使用状況などを国に定期報告することを求めているが、事業者の省エネの取り組み状況の評価基準のひとつとなるのが、エネルギー消費効率を年平均1%以上低減しているかという点である。
 他方で、既に省エネの取り組みを相当程度進めてきた事業者にとっては、年平均1%以上のエネルギー消費効率の低減は容易ではないことも事実であり、省エネを促す新たな仕組みが求められていた。

他の事業者と比較することで取り組みを促進

 そこで、2008年から「ベンチマーク制度」がスタートした。
 この制度は、業種や分野ごとにエネルギー消費効率の指標(ベンチマーク指標)を設定し、他の事業者との比較を通じて自社の立ち位置を確認してもらうことで更なる省エネの取り組みを促すことを目的としている。また、国もベンチマーク指標の状況を定期報告の評価で活用している。
 ベンチマーク制度は、「日本再興戦略2016(2016年6月閣議決定)」において、「製造業などエネルギー多消費産業向けに設定している省エネの産業トップランナー制度(ベンチマーク制度)を、流通・サービス業に拡大し、2018年度中に全産業のエネルギー消費の7割に拡大する」との方針が打ち出されたことなどもあり、これまでに12業種16分野で導入されている。
 今後とも、ベンチマーク制度の対象業種拡大をはじめ、省エネ施策を総動員して徹底的な省エネを推進してまいりたい。 

【関連情報】

エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づく「ベンチマーク指標」の平成29年度実績を取りまとめました