統計は語る

販売不振の陰にコンビニ、ドラッグストアの台頭あり

多様化する飲食料品流通の現状 新たな指数で分析してみました


平成29年の飲食料品小売業指数は、4年連続の前年比低下だった。衣料品や住関連業種が前年比上昇するなか、飲食料品の販売を主とする飲食料品小売業は依然として低下傾向にある。
一方、商業動態統計によると、大型スーパーやドラッグストアなどの飲食料品小売業に属さない商店での飲食料品の売上げは、順調に伸びている様子がうかがえる。
そこで今回は、従来の「業種」という枠では無く、「飲食料品の小売販売」という業務アクティビティーに着眼した指数を試算してみた。

特化した指数

従来の飲食料品小売業を補う指数として、飲食料品小売業に属さない百貨店、ドラッグストア、無店舗販売などから月々の「飲食料品の小売販売」をピックアップし、基準年の飲食料品販売構成をウェイトとして総合化する、飲食料品小売のアクティビティー・ベース指数「飲食料品小売販売活動指数」を新たに作成した。

ターニングポイントは26年

飲食料品小売販売活動全体の月次の動き(基調)をみると、平成20年年央から25年春まで上昇傾向で推移、横ばい時期を挟み消費税率改正月には急降下、その翌月からは復帰過程に入ったが、26年秋以降は大きな変動はみられず、横ばい気味に推移している。この26年秋以降の動きが30年3月時点でも低下傾向が続く従来の飲食料品小売業との動きとは、大きな相違点となっている。

消費者の店選びに変化の兆し

飲食料品小売販売活動の内訳分類別の対前年寄与度をみると、従来の指数とのかい離が拡大する26年以降では、コンビニを除く飲食料品小売業や通信販売などでの飲食料品販売の不調を、好調な動きのコンビニエンスストアやドラッグストアが補い、全体を横ばい傾向にとどめている、ということがうかがえる。この時期をターニングポイントとして、消費者の飲食料品に関する店選びに大きな変化があったのかも知れない。

今回紹介した飲食料品小売販売活動は、比較的早期に月次での動きを捕らえることが可能な指数である。今後も、定期的にこの新指数を更新、公表していきたい。

関連情報
ミニ経済分析「多様化する飲食料品流通の現状を可視化する指数の試作;アクティビティー・ベースの「飲食料品小売販売」活動指数」のページ