統計は語る

9月の鉱工業生産は、自動車工業を中心に前月比0.2%と、3か月ぶりの上昇。基調判断は、「一進一退」に据え置き

9月生産は3か月ぶりの前月比上昇

2023年9月の鉱工業生産は、季節調整済指数103.3、前月比0.2%となった。

これまでの生産の動向については、5月は、それまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて低下したものの、6月は、堅調な自動車工業の影響などを受けて上昇していた。

その後、7月は、生産用機械工業の受注減少などの影響により低下し、8月は、自動車工業の工場稼働停止などを受けて低下していた。

こうした中、9月は、自動車工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇した。

9業種が前月比上昇、6業種が同低下

9月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が上昇、6業種が低下という結果だった。

9月は、自動車工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇した。

上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車やシャシー・車体部品などが主な上昇要因となっている。普通乗用車やシャシー・車体部品については、普通乗用車の販売が好調であることなどを受けて、上昇したものと考えられる。

他方で、低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業は、産業用ロボットや金型などが主な低下要因となっている。産業用ロボットや金型については、販売の不調などを受けて、低下したものと考えられる。

出荷は3か月ぶりの上昇

9月の鉱工業出荷は、季節調整済指数103.2、前月比0.4%と、3か月ぶりの上昇となった。

業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が上昇、6業種が低下となった。

9月は、自動車工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇した。

上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車やシャシー・車体部品などが主な上昇要因となっている。普通乗用車やシャシー・車体部品については、生産と同様の理由により上昇したものと考えられる。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)が前月比マイナス3.0%、耐久消費財が同マイナス1.0%と低下する一方で、生産財が同1.1%、非耐久消費財が同0.3%、建設財が同0.4%と上昇した。

在庫は2か月連続の低下

9月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.8、前月比マイナス1.1%と、2か月連続の低下となった。

業種別にみると、15業種のうち、9業種が低下、6業種が上昇となった。

低下寄与度の最も大きかった電子部品・デバイス工業は、アクティブ型液晶パネル(大型)やトランジスタなどが主な低下要因となっている。

在庫率は2か月連続の低下

9月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数104.1、前月比マイナス1.1%と、2か月連続の低下となった。

業種別にみると、15業種のうち、9業種が低下、6業種が上昇となった。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期(速)には、「在庫調整局面」に達している。これまでも、一部の業種において、在庫の削減に取り組まれてきたと考えられるが、その動きが強くなってきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要がある。

9月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き

9月の鉱工業生産は、前月比0.2%の上昇となった。

これまでの生産は、5月が、それまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて低下したものの、6月は、堅調な自動車工業の影響などを受けて上昇していた。

その後、7月は、生産用機械工業の受注減少などの影響により低下し、8月は、自動車工業の工場稼働停止などを受けて低下した。

そうした中、9月は、自動車工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇した。

また、先行きに関しては、企業の生産計画では、10月は上昇、11月は低下を見込んでおり、均してみると引き続き一進一退の状況にあると考えられる。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の9月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。

なお、今後は、世界経済の下振れや物価上昇の影響などについて、注視していく。

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参考図表集
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」