60秒早わかり解説

進化する12年目のなでしこ銘柄。“共働き・共育て”に着目し、新たな企業群の選定も

なでしこ銘柄は、女性活躍に優れた企業を経済産業省と東京証券取引所が銘柄として選定し、投資家に紹介する取り組みです。これまでにのべ約420社を選定し、応募企業の女性活躍推進状況に関する情報を公開しています。12年目となる今年度は、「共働き・共育て」にも着目します。
※公表に同意いただいた企業のみ

企業価値向上に繋がる組織の多様性

デジタル化や少子高齢化など社会環境が変化する中、企業の中長期的な価値向上のためには、イノベーションの創出が必要不可欠です。組織の多様性が高い企業では、イノベーションの創出を含め、様々な経営上の成果が期待できることも分かっています。

多様性の重要な要素の一つが女性活躍の推進です。実際に、「なでしこ銘柄」に選定される企業は、TOPIX平均と比較して、株価指数が高い傾向がみられ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた後も回復力が強い傾向にあることが分かります。

「なでしこ銘柄」選定企業とTOPIX の株価指数比較

両輪で進めるべき「キャリア形成支援」と「共働き・共育て(男女問わない両立支援)」

希望する働き方やライフイベントは人によって様々で、どんな選択も尊重されるべきですが、出産・育児などを希望する女性のキャリアの中断は、女性活躍が進まない要因の1つとなっています。

この解消のためには、「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」を両輪で進めることが必要です。

なでしこ銘柄の目指す姿

特に、企業の両立支援については、利用者が女性に偏るような制度となっている場合、家事やライフイベント(出産・育児など)と仕事の両立の負担が女性に偏り、女性活躍に結びつかないこともあります。実際に、子供を持つ夫婦における妻の家事負担の割合は、長期的には減少傾向にはあるものの、夫に比べ依然高くなっています。

6歳未満の子供を持つ共働きの妻・夫の家事関連時間の推移(週全体平均)
(内閣府 令和5年版男女共同参画白書概要版より経済産業省にて一部抜粋)

このようなことを踏まえると、男女問わずに希望する人が活用しやすい制度設計にすることが重要です。男女問わず全ての従業員が希望する働き方を選択しやすい企業であれば、「共働き・共育て」を希望する従業員も、自らの望む働き方を実現しやすくなります。

今年度のなでしこ銘柄のポイントは?

上記の考え方を踏まえ、今年度のなでしこ銘柄では、共働き・共育て支援(男女問わない両立支援)にも着目し、女性のキャリア形成支援と、男女問わない両立支援を両輪で進め、経営戦略と連動した女性活躍推進を行う企業を選定します。

また、女性活躍に関して優れた取り組みを行う企業が適切に資本市場から評価されるよう、1業種1枠に限らず選定枠を拡大し、最大30社程度の選定を行います。

「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の新設

さらに、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」に関する取り組みが特に優れた企業を新たに「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として20社程度選定します。

今年度も、たくさんの企業からのご応募をお待ちしております。また、選定された企業の事例や応募企業のデータ開示にもぜひご注目ください!

経済産業省 経済社会政策室

【関連情報】
女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」|経済産業省ホームページ
令和5年度「なでしこ銘柄」募集要領:応募期間:令和5年9月27日(水)~令和5年11月9日(木)16時