統計は語る

乗用車の価格上昇の要因を探る

最近、自動車の価格が高いと思わないだろうか。新型コロナウイルスが世界中に猛威を奮い、さらに半導体など部品供給の遅延により、新車の注文から納車までの期間が長期化し半年どころか1年を超える待ちが普通の状態になっているのが話題になっている。部品供給の遅延が、価格上昇につながっているとは考えにくいので、その要因を探ることとする。

生産金額は、上昇に転じている

経済産業省が調査を実施している経済産業省生産動態統計から乗用車を俯瞰すると、乗用車の生産台数は、2019年以降4年連続で減少しているが、生産金額は2022年には増加に転じている。グラフでは、生産台数、生産金額、生産単価とそれぞれ単位が異なるため、2015年を1.00として描写している。乗用車計とグラフが類似しているのは、普通乗用車となり、乗用車計の2022年生産金額の増加の要因は、普通乗用車の単価の上昇が、生産台数の減少をカバーして生産金額の増加になっていることが伺えた。

ハイブリッド車が半分になっている

国内における乗用車の販売状況について燃料別登録台数(輸入車を含み、軽乗用車を除く)の内訳をみると、2022年は、ハイブリッド車が(HEV)49.0%となり、ガソリン車の42.2%を初めて上回っている。プラグインハイブリッド車(PHEV)が、1.7%あるので、これをハイブリッド車に加えると、2022年の新車登録車の半分がハイブリッド車(PHEVを含む)となる。同じモデルについてガソリン車とハイブリッド車についてカタログ価格を調べると、ハイブリッド車(PHEV車を含まない)がガソリン車より40万円から80万円ほど高くなるようだ。
このように、単価の高いハイブリッド車の生産拡大が生産金額の増加に寄与しているように見えるが、次にその要因を見てみる。

ハイブリッド車だけが生産金額の増加の要因ではない

2022年の普通乗用車の生産台数は前年比2.5%の減少、生産金額は同11.8%の増加、生産単価が同14.6%上昇している。
普通乗用車の生産金額の増加の要因を数量要因(生産台数)と価格要因(生産単価)、さらにはハイブリッド車と非ハイブリッド車に分けて要因をみる。生産金額が前年比11.8%の増加となった要因は、非ハイブリッド車の生産単価の上昇が10.6%となり、続いてハイブリッド車の生産単価が3.5%、ハイブリッド車の生産台数増加が0.1%、非ハイブリッド車の生産台数の減少が▲2.5%となった。
つまり、ハイブリッド車以外(EV車、PHEV車を含む)とハイブリッド車の生産単価の上昇が普通乗用車の生産金額を押し上げていることになる。
このところ自動車のみならず、原材料価格や原油価格の高騰、加えて円安が重なることで輸入品はさらに高騰しており、複数の自動車メーカーから値上げの発表があった。また、道路運送車両法の改正(2020年1月31日)により2021年11月以降に発売する新型車は、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の搭載が義務化されている。安全運転機能がオプションから標準装備となったことも、このところの乗用車の価格上昇のひとつの要因と考えられる。

実は、トランスミッションやブレーキ制御装置が値上がりしている

経済産業省生産動態統計から自動車部品の生産単価について2020年を100とした指数に変換してみると、自動車部品のうち、主要な部品となる自動変速装置(トランスミッション)や電子式ブレーキ制御装置が値上がりしている。また、かじ取りハンドルも2022年以降値上がりしている姿が、次のグラフから読み取れる。
自動運転機能や安全運転機能の標準装備化と機能の高度化に半導体不足が重なり、制御するユニット部品が値上がりにつながっていると考えられる。今後も自動運転機能や安全運転機能は、さらに進化していくとみられるので、新型車へのモデルチェンジに合わせて装備されることが続き、価格上昇は続くとみられる。

(本解説に関する注意事項)
本解説は、公に入手可能で、経済産業省経済解析室が信頼できると判断した情報を用いて作成している。ただし、使用した情報を全て、個別に検証しているものではないため、これらの情報が全て、完全かつ正確であることを保証するものではない。
また、本解説は、統計等の利活用促進を目的に、経済解析室の分析、見解を示したものであり、経済産業省を代表した見解ではない。

乗用車の価格上昇の要因を探る