統計は語る

アイスクリームなどの動向について

デザートとして人気のあるアイスクリームだが、コンビニなどではプレミア感のあるプライベートブランドのアイスクリームを見かけることも多くなった。旅行の際に、その地域でしか購入できない地域限定の「ご当地アイス」を発見するのも楽しみの一つである。

今回は、アイスクリームなどの動向について統計からみていく。

菓子類のなかでも、家計の支出額が年々増加しているアイスクリーム

家計調査により菓子類への支出額を指数化(2015年=100)すると、内訳のアイスクリーム・シャーベット(以下、単にアイスクリームとする。)は右肩上がりで上昇傾向を示している。コロナ禍の2020年に和菓子などへの支出が減少し菓子類全体の指数水準が低下した際も、アイスクリームは上昇傾向を示し、2022年には過去最高の水準(支出金額は10,848円)となっている。

これは、和菓子や洋菓子は専門店で購入する頻度が高いことに比べ、アイスクリームはスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどで手軽に購入できることからおやつやデザートとして子供から高齢者まで幅広い世代での購入が進んでいるためと思われる。更に、アイスクリームはデザートのなかでも比較的安価であり、ちょっとした贅沢や自分へのご褒美としての購入やコロナ禍の巣ごもり需要なども支出拡大に寄与していると考えられる。

次に、供給側の動向をみるために工業統計調査及び経済センサス‐活動調査によりアイスクリーム(氷菓は含まれない。)の品目別製造品出荷額をみると、2012年は3,104億円だったが2020年は4,497億円と約1.4倍に増加するなど出荷額が拡大している。また、1事業所あたりの出荷額をみても、年々、増加傾向を示している。

地域別の支出額 -支出額が最も多いのは金沢市、他方、少ないのは那覇市-

地域別の支出額を再び家計調査によりみると、最近10年間の平均で最も支出額が多い都市は金沢市、次いでさいたま市、富山市の順となる。一方、支出額が少ないのは、那覇市、次いで和歌山市、神戸市の順になる。

比較的気温の高い西日本の地域においてアイスクリームへの支出額が少ないこと、冬季に冷え込みが厳しく降雪量の多い北陸地方で支出額が多いことに意外性がみられる。金沢市のアイスクリームへの支出額が多い理由は諸説あるようだが、金沢市民が甘いもの好きというのは間違いないようだ。

月別の支出額 -7月、8月の支出金額が大きく、2月は最も少ない-

次に、家計調査の月別支出額をみると、7月や8月の夏季に支出が多いことが分かる。秋以降減少傾向で、2月に支出額が最も少なくなり、晩春から支出額が増加していく。概ね気温の上昇にともなってアイスクリームへの支出額も増加する傾向にある。(一社)日本アイスクリーム協会によると、気温が22~23度を超えると売れるようになるが、30度を超えると氷菓やかき氷にシフトしていくとのことだが、暑すぎても濃厚な味わいのアイスクリームなどは売れ行きが鈍化するようだ。

輸出先はアジアの国・地域が中心

国内需要が好調なのは分かったが、次に外需を確認してみる。アイスクリームの輸出金額の推移を貿易統計でみると、2013年には8.6億円だったが、2022年は約7.5倍の64.5億円と大きく増加している。

輸出先を国・地域別(2022年)にみると、最も割合が大きいのが香港で21.1%、次いで中華人民共和国の16.5%、台湾の16.0%、シンガポールの10.5%の順となっており、アジアの国・地域を中心に輸出していることが分かる。日本製の高品質で安全なアイスクリームが近年アジアの国・地域でも人気のようだ。

このように、手軽なデザートであるアイスクリームへの家計の支出や輸出が好調で、アイスクリームの製造品出荷額は増加傾向を示している。乳固形分の割合が大きいアイスクリームは栄養面でも優れており、高齢者のデザートとしても利用されている。また、低糖質、低カロリーの商品や機能性を付加したアイスクリームなど様々な製品も登場している。

これから、暖かくなるにつれてアイスクリームの購入機会が増加していくが、どういった商品が新たに発売されるのか注目している。

他方、畜産業における飼料等のコスト高などを通じた原材料価格の上昇が継続しており、アイスクリームの値上げも実施されるなど、し好品色の強いアイスクリームの購入頻度に影響がでないか懸念されるところだ。

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アイスクリーム等の動向について