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「対日M&A」事例で見る3つの誤解

日本企業の経営課題解決や成長の加速に向けた選択肢の一つとして注目される「対日M&A」。実際に複数の企業が、海外資本の持つグローバルネットワークやノウハウなどを活用して、海外販路の拡大や経営の高度化、人材の強化・育成などを実現しています。「対日M&A」について、よくある誤解と実態を解説します。

「対日M&A」ってなに?

対日M&Aとは、外国企業または海外プライベートエクイティファンド(PEファンド)による日本企業へのM&Aのことをいいます。
近年、複数の日本企業が、海外資本を活用した企業変革や経営改善、成長につなげていて、対日M&Aの件数・金額は直近10年間で増加傾向にあります。

対日M&A(買収・事業譲渡)の推移(件数・金額)

出所:レコフM&Aデーターベースから経済産業省作成

誤解①経営が厳しくなってのM&Aがほとんど?

M&A=経営が厳しいというのは誤解です。実績を残している企業や事業であっても、マクロ環境や産業構造の変化などから生じる経営課題に対応するため、企業・事業売却を決断する事例が多くみられます。実際に、M&A後に、海外売上比率や新規事業売上の増加などを達成した事例が複数あります。

誤解②大規模なリストラで雇用が失われる?

M&A=リストラではありません。海外資本を受け入れ、その資金を活用して、設備投資の拡大・雇用増加につながった例も複数あります。一方、事業再構築などでリストラが行われることもあります(M&Aがなくともリストラを行う必要があった可能性もあります)。

誤解③企業文化の違いで分かりあえない?

相互理解には、中長期的な視点を持つことも重要です。特に外国事業会社の場合、企業カルチャーの違いを感じることが多いと思われがちですが、両社のメンバーで委員会を立ち上げて議論の場を設けるなどの体制づくりにより、互いの企業カルチャーを理解していった事例も見られました。

対日M&Aは経営課題解決や成長の選択肢。事例集の活用を

経済産業省では、対日M&Aを通じて企業変革や飛躍的成長につなげた20の成功事例、企業が抱えていた課題、対日M&Aの留意点・メリットなどを掲載した事例集を公表しました。M&A後の具体的な企業の取り組み、従業員の生の声など実践的な内容も多く含んでいます。企業の経営課題解決や成長の加速に向けた選択肢の一つとして、対日M&Aを検討する際にぜひご活用ください。

対日M&A活用に関する事例集より

経済産業省 投資促進課

【関連情報】
対日M&A活用に関する事例集(特設ページ)|経済産業省HP