60秒早わかり解説

「未来のブカツ」ビジョンは“部活動の地域移行”の先の未来を描く

未来のブカツ

2023年度から休日の部活動を段階的に地域に移行する-。

文部科学省が部活動の地域移行(※)についての方針を示してから2年。スポーツ産業を所管する経済産業省では、様々な民間クラブがその受け皿として機能するための事業環境問題を考える「地域×スポーツクラブ産業研究会」での議論や、全国10カ所で実施したフィージビリティスタディ事業で明らかになった課題を踏まえ、新しいスポーツ環境はどうあるべきか、そこに向けどのように進めるべきかを「未来のブカツ」ビジョンとしてまとめました。

(※)部活動の地域移行とは、将来にわたり我が国の子供たちがスポーツ・文化芸術に継続して親しむことができる機会を確保するため、学校の部活動を地域の運営団体・実施主体による地域クラブ活動とし、地域の持続可能で多様なスポーツ・文化環境を整備すること等を目指して文部科学省が取り組んでいる政策。

「ブカツ」と「部活」どう違うの?

多くの人になじみのある「部活」は、“学校部活動”です。一方、「未来のブカツ」ビジョンで用いている「ブカツ」は、様々な運営主体が提供する地域のスポーツクラブ活動として、従来のイメージにとらわれず多様性に富んだ姿をイメージしているため、あえてカタカナ表記にしています。

合意形成のカギは「改革を通じて実現したい価値」の共通理解

部活動に関する思いは人それぞれです。これまでの部活動に代わり、多様な主体が担う「未来のブカツ」の姿はどのようなものか、どうしたら実現できるのか。地域内の様々な関係者の合意形成には、そもそも何のための改革なのか、関係者が迷ったときに立ち戻ることができる共通理解があることがカギとなるでしょう。

では、何を「共通理解」とすべきか。「未来のブカツ」ビジョンでは、「改革を通じて実現したい3つの価値」を問題提起した上で、スポーツの社会システム全体の再デザインを提案しています。

1つめの価値は、「自由意志に基づく」スポーツ環境。する側、教える側、支える側すべてに無理が少ないことです。
2つめの価値は、「選べる」スポーツ環境。活動の頻度や強度、コーチや環境など、選べるから、始められる、磨ける、競い合える、続けられると考えています。
3つめの価値は、「探究的」なスポーツ環境。科学的エビデンスのない、「べき論・根性論」に支配されない環境であることが重要です。

多様な主体が混在する「未来のブカツ」へ

学校部活動改革は、子どもの成長にとって望ましい、関係者に無理を強いることのないスポーツ環境を構想し、社会システムそのものを再構築する大きなチャンスです。

“部活動の地域移行”の先の未来を描く、「未来のブカツ」ビジョン。学校現場や教育委員会、自治体や地域民間スポーツクラブの方は、ぜひご一読ください。

経済産業省 サービス政策課 スポーツ産業室

【関連情報】
「未来のブカツ」ビジョンを取りまとめました (2022年9月28日経済産業省ニュースリリース)
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