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知っておきたい経済の基礎知識~新たな経済連携の枠組み「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」とは

インド太平洋経済連携枠組み(IPEF)関係閣僚会合(2022年9月)

2022年9月、米国でインド太平洋経済枠組み(IPEF)閣僚会合が開かれ、全14か国が参加する形で正式に交渉開始が決定されました。2022年5月のバイデン大統領訪日時に発足し、日本も参加する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」とは何か、解説します。

14か国で4つの分野ごとに交渉

「インド太平洋経済枠組み」は英語でIndo-Pacific Economic Frameworkといい、略称「IPEF(アイペフ)」はその頭文字を取ったものです。参加するのは、米国、日本、豪州、ニュージーランド、韓国、ASEAN7カ国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ)、インド及びフィジーの14か国。自由で開かれたインド太平洋を経済面で実現することを目指し、①貿易、②サプライチェーン、③クリーン経済(クリーンエネルギー・脱炭素など)、④公正な経済の4つの分野で交渉を行います。

CPTPPとの違いは?

インド太平洋経済枠組み(IPEF)の発足により、2017年1月にTPP(環太平洋パートナーシップ)協定から離脱した米国が、再びインド太平洋地域に経済面で関わることになります。CPTPP(米国離脱後の11か国が加盟する「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」)と異なり、現時点では関税削減といった市場アクセスが交渉に含まれていませんが、サプライチェーンや脱炭素、クリーンエネルギーなど、従来の通商協定を超える幅広い分野を含む交渉範囲となっています。また、CPTPPに参加していないインド、インドネシア、フィリピン、タイ、フィジーも含めた経済圏を構築していく試みです。

インド太平洋地域の包摂的で持続可能な経済成長を実現

インド太平洋経済枠組み(IPEF)は、デジタル経済やサプライチェーンの強靱化、脱炭素、クリーンエネンルギーなど、21世紀型の課題に対し、インド太平洋地域の多様な国が協力して、ルールと協力のバランスの取れたパッケージを作っていく新たな地域連携のアプローチです。日本は、インド太平洋地域のイノベーティブで、包摂的かつ持続可能な経済成長を実現するため、各国と連携して取り組んでいきます。

経済産業省 経済連携課

【関連情報】
西村経済産業大臣がインド太平洋経済枠組み(IPEF)閣僚会合に出席しました(2022年9月13日経済産業省ニュースリリース)