60秒早わかり解説

中小企業・小規模事業者の自己変革力-中小企業白書・小規模企業白書

 中小企業庁は、2022年版中小企業白書・小規模企業白書を公表しました(書店にて発売中)。今年の白書では、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の流行や原油・原材料価格の高騰などの外部環境に直面する中小企業・小規模事業者の動向、それぞれが自己変革に向けて新たな挑戦を行うために必要な取り組みについて、分析や事例を豊富に紹介しています。

中小企業の成長につながる「事業再構築」と「無形資産投資」 

 感染症は、引き続き多くの中小企業に影響を与えています。足下の事業継続とその後の成長につながる方法の一つとして、事業再構築※が重要です。実際に売上面への効果や既存事業とのシナジー効果を実感する企業も存在しています。

※新たな製品やサービスを提供したり、製造や提供の方法を相当程度変えることなどをいう。

事業再構築を行っている企業の3割以上で売上げ面の効果が既に出始めている

 中小企業の成長を促す取り組みとして、オリジナルの付加価値を有し、適正価格を付けられる価格決定力を持つブランド構築や、従業員の能力開発のための人的資本への投資を始めとする無形資産投資に今回着目しています。

ブランドの構築・維持を図る取り組みを行っている企業では、自社ブランドが取引価格に寄与している割合が高い

計画的なOJT研修、OFF-JT研修をいずれも実施している企業では、売上高増加率が最も高い

小規模事業者が取り組む「事業見直し」と「地域内連携」

 小規模事業者は、積極的に事業見直しに取り組んでいるものの、知識・ノウハウの不足や販売先の開拓・確保、資金調達、人材の確保といった課題に直面しています。人材や取引先などについて助言ができる支援機関(公的支援機関、金融機関、士業など)の役割は重要です。

小規模事業者は、知識・ノウハウの不足や販売先の開拓・確保といった様々な課題に直面している

 また、他の事業者などと連携し、地域課題解決に向けた取り組みを行う企業も存在します。まちづくりや産業振興など、地域の課題解決に向けた中心的な役割を担う存在として小規模事業者への期待は大きく、支援機関を活用しながら他の事業者と共同で対応することが有効です。

共通基盤としての「取引適正化」「デジタル化」「伴走支援」

 中小企業・小規模事業者の事業継続、成長を支えるインフラ(共通基盤)として、取引適正化やデジタル化、経営力再構築のための伴走支援に着目し、それぞれの重要性や事例をまとめています。販売先との交渉機会を設けた企業では価格転嫁につながる割合が高い傾向が明らかになりました。また、感染症の流行前後でデジタル化による業務効率化などに取り組む事業者が増加しています。さらに、経営者が自己変革を進めるために第三者である支援機関との対話や、伴走支援が重要であることを示しています。

感染症流行前後で、デジタル化による業務効率化などに取り組む事業者(段階3)は増加している

新たな時代へ向けた「自己変革力」

 経営環境が変化し、先を見通すことが困難な今こそ、事業者の「自己変革力」が求められています。本白書の内容を通じて、中小企業・小規模事業者の皆様が、足下の課題を乗り越え、新たな挑戦を始める契機となれば幸いです。

【リンク先】
中小企業白書
小規模企業白書
2022年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました (METI/経済産業省)

中小企業庁 調査室