4月の鉱工業生産は、電子部品などで低下し、全体として前月比マイナス1.3%と3か月ぶりの低下
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4月生産は3か月ぶりの前月比低下
2022年4月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.2、前月比マイナス1.3%と、3か月ぶりの低下となった。
これまでの生産の動向については、2021年10月から12月にかけて、部材供給不足等の影響の緩和などを受けて、3か月連続で上昇したが、2022年1月は、再び部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて、低下した。
2月と3月は、部材供給不足や新型コロナウイルス感染症拡大等の影響が緩和したことなどを受けて、2か月連続で上昇したが、4月は、海外需要の減少や中国でのロックダウン等の影響等を受けて、低下に転じた。
7業種が前月比低下、8業種が前月比上昇
4月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、7業種が前月比低下、8業種が前月比上昇という結果だった。
4月は、電気・情報通信機械工業などが上昇したものの、海外需要の減少や中国でのロックダウン等の影響を受けて、電子部品・デバイス工業や生産用機械工業などが低下したことから、全体として低下した。
主な低下寄与業種についてみると、低下寄与の最も大きかった電子部品・デバイス工業は、モス型半導体集積回路(メモリ)、アクティブ型液晶パネル(中・小型)、アクティブ型液晶パネル(大型)等が主な低下要因となっている。これらについては、いずれも海外向けの減少などを受けて、低下したものと考えられる。
また、次に低下寄与度の大きかった生産用機械工業は、ショベル系掘削機械、半導体製造装置、繊維機械等が主な低下要因となっている。ショベル系掘削機械については、中国でのロックダウン等による部材供給不足などを受けて、低下した。
また、半導体製造装置や繊維機械については、前月の上昇からの反動減などにより、低下したものと考えられる。
出荷は横ばい
4月の鉱工業出荷は、季節調整済指数93.3、前月から横ばいとなった。
業種別にみると、全体15業種のうち、8業種が上昇、6業種が低下、1業種が横ばいとなった。
4月は、電気・情報通信機械工業などが上昇したものの、電子部品・デバイス工業などで低下したこと等から、全体として横ばいとなった。
上昇寄与の最も大きかった電気・情報通信機械工業は、リチウムイオン蓄電池、開閉制御装置、セパレート形エアコン等が主な上昇要因となっている。リチウムイオン蓄電池については、部材供給不足の緩和などにより、開閉制御装置については、国内工場や公共施設向け等の増加などにより、上昇したものと考えられる。
また、低下寄与の最も大きかった電子部品・デバイス工業は、モス型半導体集積回路(メモリ)、アクティブ型液晶パネル(中・小型)、アクティブ型液晶パネル(大型)等が主な低下要因となっている。これらは、生産と同様の理由で低下したものと考えられる。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、非耐久消費財が前月比2.8%の上昇、資本財(除.輸送機械)が同2.2%の上昇、建設財が同3.4%の上昇、耐久消費財が同0.1%の上昇となり、生産財を除き上昇した。
在庫は2か月連続の低下
4月の鉱工業在庫は、季節調整済指数98.4、前月比マイナス2.5%と、2か月連続の低下となった。
業種別にみると、15業種のうち、11業種が低下、3業種が上昇、1業種が横ばいとなった。
低下寄与業種の中では、特に、電気・情報通信機械工業の低下寄与が大きくなっている。電気・情報通信機械工業では、中国でのロックダウン等の影響などにより、生産の上昇幅が抑制されたことなどを受けて、在庫が低下したものと思われる。
在庫率は4か月ぶりの低下
4月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数115.6、前月比マイナス3.2%と、4か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、15業種のうち、10業種が低下、5業種が上昇となった。
在庫循環図をみると、2020年第4四半期と2021年第1四半期は、「意図せざる在庫減局面」にあり、2021年第2四半期には、「在庫積み増し局面」に達し、第3四半期も継続したが、第4四半期では、「在庫積み上がり局面」に達しており、2022年第2四半期(速)まで継続している。
しかしながら、部材供給不足などによる生産減少の影響が含まれていることなどから、今後、もうしばらくその動向を注視していくことが必要だ。
4月の生産の基調判断は、「足踏みをしている」に引き下げ
4月の鉱工業生産は、前月比1.3%の低下となった。
生産は、2022年1月に、部材供給不足や新型コロナウイルス感染症急拡大などの影響を受けて低下したが、2月と3月は、部材供給不足や新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和したことなどを受けて、2か月連続で上昇していた。
こうした中、4月は、海外需要の減少や中国でのロックダウンなどの影響を受けて、再び低下に転じた。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、5月と6月はともに上昇となっているものの、5月の補正値は前月比0.5%の低下を見込んでおり、ならしてみると足踏みをしている状態にあると考えている。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の4月の基調判断については、「足踏みをしている」に引き下げる。
なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、物価上昇の影響、ウクライナ情勢などについて、注視していく。