統計は語る

7月の建設活動指数、2カ月連続の低下

2カ月連続で前月比マイナス

 2018年7月の建設業活動は、前月比マイナス0.6%と2か月連続の低下で、指数値は112.8となった。

 建設業活動指数は、昨年春先に急激に活動が活発化、以降は低落傾向ながらも活発化前の水準を上回るレベルで推移していた。しかしながら、この6月、7月の連続低下で指数値を3.5ポイント下げ、113台の指数水準を割り込んだ。今月7月の指数値112.8 は、昨年第1四半期の指数値と同値であり、ついに活動活発化期間の貯金を使い果たした格好だ。

 後方3か月移動平均値をみると、先月6月時点では下げ止まりの兆しもあったが、今月の動きからは、未だ弱含み傾向から抜け出せていないことが確認できる。

官・民発注の土木工事が低下に寄与

 7月の建設業活動では、民間発注工事が前月比マイナス0.4%と2か月連続の低下、公共工事が前月比1.3 %と3か月ぶりの上昇だった。内訳5事業では、民間非住宅建築を除く4事業すべてが低下した。このうち官・民の土木工事の低調な動きが、7月の建設業活動全体の低下に強く影響した。

 民間発注工事では、住宅建築は前月比マイナス0.3%と4か月ぶりの低下だった。5月、6月と他の4事業すべてがマイナスとなるなか、わずかながらも唯一上昇を続け、建設業活動全体を下支えしていたが、当月はマイナスに転じた。

 非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比1.0%と3か月ぶりの上昇、ここ2か月の連続低下分を上回る大幅上昇だった。先月の連続低下時には、好調に推移してきた指数も「天井」を迎えたかとも懸念されたが、その不安を一蹴する動きだ。指数値は今基準内(2010年1月~)最高値を記録した。

 民間・土木は前月比マイナス3.3%と3か月連続の低下だった。昨年4月に急激に活動が活発化し、2011年3月の東日本大震災前以来となる複数月連続での指数値100超えを今なお継続中だが、この100超え期間では最も低い指数値であり、少し動きが弱くなっているようである。

 公共工事では、公共・建築(庁舎、学校、病院など)は前月比マイナス0.4%、公共・土木は前月比マイナス0.9%と、ともに3か月連続の低下だった。新規受注の伸び悩みもあり、このところの動きは弱いものとなっている。なお、公共工事全体では前月比プラスだが、内訳2事業はいずれも前月比マイナスと、不安定な動きをみせる公共工事の特徴があらわている。

先行きは

 2018年7月の建設業活動は、ここ2か月間の連続低下で大きく指数値を下げ、一気に活動が活発化した昨年春以降の上積み分を使いきり、指数値は昨年第1四半期の水準にまで下降した。

 内訳事業では、民間住宅建築の動きの弱さ、公共工事の動きの不安定さは今月も継続している。また、民間非住宅建築の動きは復調したが、民間土木工事の動きには少し弱さもみられ、民間投資関連工事全体では、高い水準での推移が続いている。総じて内訳事業の傾向には大きな変化はみられなかった。

 建設業活動全体でみれば、先月6月の段階では下げ止まりの兆しもあり、復調への期待感があった。ただ、今月7月時点の動きを見る限りは、建設業活動は引き続き弱含み傾向にあるといえるだろう。

 

関連情報

全産業活動指数 結果概要

就活でもない、終活でもない「全活」