統計は語る

コロナ禍でも好調!ペット関連産業の動き

 皆さんは犬派、それとも猫派どちらだろうか。ペットを飼いたくても住宅事情などにより飼えない人も多いと思われる。ペットに関する統計をみると、犬の登録頭数は全国で約609万頭(※)というデータがある。

 狂犬病予防法により登録が義務づけられている犬と異なり、猫の登録は必要なく、公的統計で猫の飼育頭数が分かるデータは見当たらない。ただ、民間調査によると犬の登録頭数より多いというデータもあるようだ。今回は、ペットに関連する産業の動向について統計からみていく。

 (※)令和2年度(2020年度)衛生行政報告例、犬の登録頭数(年度末現在)、厚生労働省

コロナ禍でもペット・ペット用品の販売額は堅調

 ペット・ペット用品については、様々な業態から購入する機会があるが、品目を限定して商品販売額の動向を見られるホームセンターでの販売額をみてみると、近年、増加傾向を示している。特に新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年に増加額が大きく、前年比8.2%増と大幅に増加した。

 四半期別の動向をみると、緊急事態宣言がはじめて発令された2020年第Ⅱ四半期に前年同期比8.2%増、第Ⅳ四半期に同13.8%増と大幅に増加するなど、2020年以降、8期連続の増加となっている。ペット・ペット用品はコロナ禍においても飲食料品小売業などと同様に販売額が増加した業種の一つだ。

図表01
図表02

家計のペット向け支出額も拡大傾向

 家計におけるペット関連の支出状況の内訳を家計調査からみると、ペット・ペット用品(ペットフードは除く)への支出は2020年までは毎年増加している。2020年の支出は前年と比べて2割ほど増加し、2021年はわずかに減少となったが、コロナ前と比べるために前々年比をみると12.4%と増加している。また、ペットフードへの支出も緩やかに上昇傾向を示している。

図表03

 このように、家計のペット関連への支出は毎年増加傾向を示していたが、特に2020年に大きく増加した。これは、テレワークにより在宅時間が増えたことで、ペットと接することの増加や、コロナ禍における癒やしを求めて新たにペットを飼育する人が増えたことなども要因の一つとして支出が拡大したものと考えられる。

受診控えなどの影響はわずかで、高水準維持のペットクリニック

 次に第3次産業活動指数により、ペット・クリニック(動物病院)についての動きをみてみると、指数水準は上昇傾向で推移しており、2019年には131.8と、高水準になった。2020年以降は弱含み横ばい傾向だが、依然として高い水準を示しており、新型コロナウイルス感染症拡大にともなって、動物病院での感染を恐れて受診控えするなどの影響はわずかであったことがうかがえる。

図表04

 このように、ペット関連産業はコロナ禍でも堅調な動きがうかがえる。加えて、ペットの通院、手術、傷害に対応したペット保険、ペット葬儀、一時的にペットを預かる宿泊施設であるペットホテルなど多様なサービスも展開されており、ペット関連産業はさらにその裾野を拡大することが予想される。

 今後も単身世帯の増加や、世帯人数の減少により生活のなかでペットの存在が重要な位置を占め、家族同様の存在となる傾向が一段と強まるのではないだろうか。