統計は語る

薄型テレビの国内生産が激減!一方、テレビに映る方は…?

テレビ国内生産と放送業


 戦後、一般家庭の三種の神器といわれるほど、テレビは我が国の家庭における生活必需品として家電の中心に位置づけられてきた。しかし、その国内生産は、近年、激変している。

「薄型テレビ」の国内生産は著しく低下

資料「鉱工業指数」(経済産業省)から作成

 ここ数年の「薄型テレビ」の生産・出荷指数の推移を見ると、2010年第4四半期をピークに急落しており、2012年第3四半期以降、ほぼ底打ちの横ばいの状況。2016年第4四半期では、2010年を基準の100とした場合、生産は4.1と約25分の1、また、出荷は13.6と約7分の1と、生産・出荷規模ともに著しく低下している。

 また、輸入浸透度も4割を超える状況で、国内生産が海外生産に切り替わりつつあるのも確か。加えて、輸入も加味した総供給指数が、2010年の盛時から10分の1に減少しており、テレビの国内市場自体が大きく縮小している。

一方、テレビに映される「放送業」は堅調

資料「鉱工業総供給表」(経済産業省)から作成

 放送を見る道具としてのテレビ受像器の生産は激減という状況だが、そのテレビに映し出される放送業の推移は、打って変わって堅調な推移となっている。「放送業」の内訳は、「公共放送業」及び「民間放送業」に分けられるが、「公共放送業」は、緩やかに年々上昇している状況。また、「民間放送業」も、上下動はあるものの、長期的に見ると上昇しており、両者とも、基準年の2010年の水準から、2016年には、約1割前後上回っている。

 放送番組というコンテンツを楽しむ方法は、DVDのようなパッケージだけではなく、ネット配信も広がりを見せており、テレビ番組=テレビ受像器ではなくなっていると言えるだろう。

資料「第三次産業活動指数」(経済産業省)から作成

 放送を巡る環境は大きく変化しているが、ことテレビの生産に及ぼした事象としては、2011年の「地上デジタル放送への完全移行」の影響が大きかった模様。この時期に、地上波デジタル対応テレビへの買替えが大規模に発生し、耐久消費財である薄型テレビの総供給指数の2010年のピークと2012年以降の低迷につながったように思われる。

関連情報

「放送業」については、「第3次産業活動指数」の業種分類に「放送業」があり、「公共放送業」及び「民間放送業」の各指数もわかる。また、「テレビ」については、「鉱工業指数」の中の情報通信業に「薄型テレビ」という品目があり、毎月の生産量と出荷量がわかる。
【第3次産業活動指数】
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/
【鉱工業指数】
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/