統計は語る

8月鉱工業生産 基調判断を「生産は足踏みをしている」に引き下げ

部材不足の影響が顕在化

8月生産は2か月連続の前月比低下

 2021年8月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.0、前月比マイナス3.2%と、2か月連続の低下となった。

 これまでの生産については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年2月から5月にかけて急速に低下した後、6月以降は一転、回復基調が続いた。半導体不足などの影響から、2021年5月に大幅に低下したものの、6月は再び上昇に転じたが、7月は再び低下し、8月は、半導体不足に加えて、アジアからの部材調達の困難化などの影響により、2か月連続での低下となった。

 その結果、2021年8月の生産水準は、半導体不足などの影響で大幅に低下した2021年5月(指数値93.5)以来の水準となった。

図表01

12業種が前月比低下、3業種が前月比上昇

 8月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が前月比低下、3業種が前月比上昇という結果だった。

 8月は、自動車工業を中心に、電気・情報通信機械工業を始めとした多くの業種が低下したことから、全体として低下した。

図表02
図表03

 主な低下寄与業種についてみると、まず、低下寄与の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や自動車用エンジン、シャシー・車体部品等が主な低下要因となっている。長引く半導体不足に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けたアジア各国での経済活動制限等による部材調達不足の影響などにより、2か月連続で低下したものと考えられる。

 また、低下寄与2位の電気・情報通信機械工業についても、2か月連続の低下となった。リチウムイオン蓄電池や放送装置、ノート型パソコン等が低下要因となっている。リチウムイオン蓄電池については、2021年に入ってから生産は高い水準を維持し続けていたが、夏期の稼働日調整などを受けて低下したと思われる。また、放送装置は、堅調であった前月からの反動減により、低下したと考えられる。ノート型パソコンについては、世界的な半導体不足の影響を受けて、低下したものと考えられる。

出荷は2か月連続の低下

 8月の鉱工業出荷は、季節調整済指数92.7、前月比マイナス3.8%と、2か月連続の低下となる。

図表04

 業種別にみると、全体15業種のうち、13業種が低下、2業種が上昇となった。

 8月は、自動車工業を中心に、電気・情報通信機械工業を始めとした多くの業種が低下したことから、全体として低下した。この点は、生産と概ね同様の動きとなっている。

 主な低下寄与業種についてみると、まず、低下寄与の最も大きかった自動車工業は、生産と同様、普通乗用車や自動車用エンジン、シャシー・車体部品等が主な低下要因となっている。長引く半導体不足に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けたアジア各国での経済活動制限等による部材調達不足の影響などにより、2か月連続で低下したものと考えられる。

 また、低下寄与2位の電気・情報通信機械工業も、2か月連続の低下となった。放送装置やノート型パソコン、自動車用電気照明器具等が低下要因となっている。放送装置は、堅調であった前月からの反動減により、低下したと考えられる。また、ノート型パソコンについては、世界的な半導体不足の影響を受け、低下したものと考えられる。自動車用電気照明器具については、自動車工業と同様の理由で低下したものと考えられる。

 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が前月比3.1%の低下であったことに加え、耐久消費財が同14.0%の低下、資本財(除.輸送機械)が同3.0%の低下、非耐久消費財が同2.0%の低下と、建設財を除き低下となった。

図表05
図表06

在庫は2か月連続の低下

 8月の鉱工業在庫は、季節調整済指数94.7、前月比マイナス0.3%と、2か月連続の低下となった。

 業種別にみると、15業種のうち、6業種が低下、9業種が上昇となった。

 低下寄与業種の中では、特に、自動車工業の低下寄与が大きくなっている。

 自動車工業では、生産、出荷ともに低下したが、生産の低下幅よりも出荷の低下幅が小さかったことから、在庫は減少したと思われる。

図表07

在庫率は2か月連続の上昇

 8月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数113.3、前月比3.4%と、2か月連続の上昇となった。

 業種別にみると、15業種のうち、11業種が上昇、4業種が低下となった。

 特に、電気・情報通信機械工業や電子部品・デバイス工業の上昇寄与が大きくなっている。

図表08

 在庫循環図をみると、2020年第4四半期と2021年第1四半期は、「意図せざる在庫減局面」にあり、2021年第2四半期には、「在庫積み増し局面」に達し、第3四半期(速)も継続している。

 ただし、生産前年同期比(横軸)については、2020年の生産水準が、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく低下していることから、その点には留意が必要と考えている。

図表09

8月の生産の基調判断は、「足踏みをしている」に引き下げ

 8月の鉱工業生産は、前月比3.2%の低下となった。生産は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年2月から5月まで低下が続いた後、6月以降は一転、回復傾向が続いていた。半導体不足などの影響から、2021年5月に大幅に低下したものの、6月は再び上昇に転じたが、7月は再び低下し、8月は2か月連続での低下となった。

 この背景には、8月の生産は、長引く半導体不足に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けたアジア各国での経済活動制限等による部材調達不足の影響などにより、自動車工業等で低下したことが考えられる。

 また、先行きに関しては、企業の生産計画では、9月と10月はともに上昇となっているが、9月の補正値では前月比1.3%の低下と予測され、3か月連続でのマイナスとなる可能性が高いことから、均してみると足踏み状態にあると考えている。

 こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の8月の基調判断については、「生産は足踏みをしている」に引き下げる。

 なお、今後も、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、半導体不足などの部材調達の困難化などの影響について、引き続き注視していく必要があると考えている。

 

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