60秒早わかり解説

自動車からの緊急脱出の安全性確保のかげには


 交通事故や水没事故などで自動車内に閉じ込められた際、シートベルトの切断やガラスの粉砕により、車外への脱出を支援するのが、自動車用緊急脱出支援用具といわれる非常時用車載用品だ。緊急時に必要不可欠なものであるにもかかわらず、性能に問題のある粗悪品が流通した実例があった。

規格づくりを始めるまでの経緯

 平成26年度版の消防白書・人口動態統計では、事故等により車内に閉じ込められる事故は年間約2万件発生し、平成24年~平成25年にかけて、国民生活センターが24種類の脱出支援用具を対象に性能試験を実施したところ、シートベルトを切断するのに時間を要するものやガラスを破砕できないものがあるとの試験結果であった。これらの調査結果を受けて規格づくりが始まった。

迅速な規格の制定へ向けて

 この脱出支援用具に関する国内外の規格はなく、国民生活センターから業界及び事業者に対して自主基準づくりの要望があった。また、行政に対しても規格・基準づくりに必要な協力を行うことが要望されたが、規格制定までにはかなりの時間が必要であった。このような状況の中、経済産業省が創設した、新たな市場の創出につなげる“新市場創造型標準化制度”を活用することにより、従来よりも迅速に脱出支援用具に関する国内規格である日本工業規格(JIS)が制定された。

自動車用緊急脱出ハンマーを選ぶポイントは?

 JISが制定されたこととで、今後は、規格を基に性能評価された製品が徐々に流通し始めると思われるが、製品を選ぶポイントとしては、破砕に適した窓ガラスの部位、破砕する際の角度や製品の耐用年数を記載した使用方法や使用上の注意があるかを確認してから購入しよう。

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