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中小企業・小規模事業者が生み出す「価値」に着目

2020年版「白書」をまとめました


 中小企業庁は、2020年版中小企業白書・小規模企業白書を公表した(書店にて発売中)。新型コロナウイルス感染症の影響を含む最近の動向に加えて、中小企業・小規模事業者が生み出す価値に着目し、豊富な事例を交えながら分析しているので、ぜひご覧いただきたい。

多様性と役割・機能に応じた支援

 白書では、中小企業・小規模事業者を、役割や機能に着目した4つの類型(グローバル型、サプライチェーン型、地域資源型、生活インフラ関連型)に分類した上で、それぞれの特徴を分析している。業績や成長意向も類型ごとに傾向が異なり、企業の役割や機能を意識した支援が企業の価値向上につながる。

新たな「価値」を生み出すために

 賃上げと利益拡大の両立を図るためには、付加価値の増大が不可欠だが、製品・サービスの差別化に苦労する企業は多い。白書では、取組推進に向けたポイントや、実際に顧客単価・顧客数増加につながった事例なども紹介している。

地域で「価値」を生み出すために

 地域の生活やコミュニティを支える小規模事業者は、地域課題解決の担い手としても期待が大きい。小規模ならではの強みを生かし、「生涯現役」をモットーにシニア世代を中心に採用する事業者や、育児・介護などの事情を抱える従業員が柔軟に働けるよう、フリースケジュール制にした事業者など、豊富な事例を取り上げている。

危機を乗り越えて

 新型コロナウイルス感染症の流行は、社会生活のあり方や働き方を大きく変える可能性がある。中小企業・小規模事業者の皆さまが、こうした変化を敏感にとらえ、持ち前の創意工夫と機動力を生かし、新たな価値を生み出していくことができれば、地域経済、ひいては日本経済の回復の原動力となる。本白書が、現下の課題を乗り越え、前向きなチャレンジを始めるための契機となれば幸いだ。

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