統計は語る

2月のサービス産業 4か月ぶりの前月比低下 新型コロナの影響も


 第3次産業(サービス産業)活動指数は、本年2月分の発表より2015年基準への改定を行い、指数を構成する系列やウエイトも見直すとともに、指数水準も2015年=100とするものに変わった(参考)。先月までの発表値と同等の比較はできないので、今後ご覧いただく際にはご注意いただきたい。
 本年2月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値101.4、前月比マイナス0.5%と4か月ぶりの低下となった。
 サービス産業活動は昨年9月に前月比2.9%と大幅な上昇をみせた後、10月は前月比マイナス5.5%と、大幅に低下した。その後11月以降、サービス産業活動は3か月連続で活動水準を戻してきたが、2月はやや大きめの低下となった。本年2月の指数値101.4は、昨年9月に大幅に上昇する以前の直近3か月の指数値の平均値103.4や、上下に大きく振れた昨年9月・10月の指数値の平均値103.5と比べても、水準としては低く、活動に弱さが感じられる。

生活娯楽関連の低下響く

 2月の業種別の動きをみると、6業種が前月比低下、4業種が前月比上昇、1業種が横ばいという結果となった。

 特に低下寄与が大きかった業種は、生活娯楽関連サービス、「医療,福祉」、「金融業,保険業」、「運輸業,郵便業」が挙げられる。2月は上昇業種であった生活娯楽関連サービス、「金融業,保険業」、「運輸業,郵便業」が、低下に転じたことに加え、「医療,福祉」も低下した。
 生活娯楽関連サービスに関しては、2月は前月比マイナス3.3%と、4か月ぶりの低下となった。特に、宿泊業、旅行業、「飲食店,飲食サービス業」が低下した。2月は、1月に春節で訪日外客数が多かったことの反動減が表れたことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響でインバウンドや宴会需要などが減少したことなども低下に影響したと考えられる。生活娯楽関連サービスは、本年1月には昨年10月に大きく低下する前の昨年9月の水準に近いところまで活動が回復していたが、2月は大幅な低下となった。
 「医療,福祉」については、前月比マイナス1.9%と、2か月連続の低下となった。
 「金融業,保険業」は、前月比マイナス2.2%と、2か月ぶりの低下となった。前月上昇した保険業が低下したことに加え、「金融商品取引業,商品先物取引業」では発行業務が低水準となった。
 「運輸業,郵便業」は、前月比マイナス1.2%と、2か月ぶりの低下となった。道路貨物運送業や航空旅客運送業などが低下に寄与した。航空旅客運送業では、国際、国内とも低下したものの、特に国際が前月比マイナス29.5%と大きく低下した。先述のように本年は春節が1月にあったことに加え、2月は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、訪日外客数や出国日本人数が減少したことによるものと考えられる。

対個人サービスの低下大きく

 サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
 2月の対個人サービス活動指数は、指数値100.6、前月比マイナス0.9%と2か月ぶりの低下だった。対事業所サービス活動指数は、指数値102.1、前月比マイナス0.4%と2か月ぶりの低下だった。両者とも大きく低下した昨年10月以降の動きをみると、対個人サービス活動の方が活動をより戻していたところだが、2月は対個人サービスの方が大きく低下した。

「製造業依存型事業所向け」は上昇続く

 対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
 2月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス0.3%と2か月ぶりの低下だった。製造業依存型事業所向けサービスは前月比1.0%と、2か月連続の上昇となった。
 製造業依存型事業所向けサービスは、昨年10月、12月と低下し、活動水準は大幅に下がっていたものの、1月以降は上昇が続いている。他方、非製造業依存型事業所向けサービスは、昨年10月の低下は製造業依存型事業所向けサービスほどではなかったものの、11月以降の戻りもやや勢いのない状況にとどまっている。

「し好的個人向け」 マイナスに転じる

 対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
 それぞれの動向についてみてみると、2月は非選択的個人向けサービスは前月比0.4%と2か月連続の上昇、し好的個人向けサービスは前月比マイナス1.5%と4か月ぶりの低下だった。昨年10月に大幅に低下していた、し好的個人向けサービスは、その後3か月連続で戻していたものの、2月は再び低下となった。

基調判断、下方修正

 本年2月のサービス産業活動指数は、前月比マイナス0.5%と、4か月ぶりの前月比低下となった。サービス産業活動は、10月に前月比マイナス5.5%と大幅に低下した後、11月以降は3か月連続で上昇していたが、2月はやや大きめの低下となった。この低下は、1月まで上昇が続いていたところからの反落という要素もあるものの、宿泊業、旅行業、「飲食店,飲食サービス業」などの生活娯楽関連サービスを中心に、新型コロナウイルス感染症の影響も現れ始めている。
 サービス産業活動の基調としては、2月までは足踏み状態の範疇とも考えうるものの、この感染症の影響が3月以降、さらに広がっている状況を踏まえると、今後もサービス産業活動を低下させる方向にさらに作用することが想定される。
 こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の2月の基調判断としては、「足踏みのなかに弱さがみられる」と下方修正し、先行きを注視していきたい。

【関連情報】

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参考図表集

『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)