60秒早わかり解説

事業活動の「顔」となる商標権 海外で取得するには

国際登録制度を定めた条約加盟から20年

 2020年3月14日、日本が「マドリッド協定議定書」(通称:マドプロ)に加盟して20周年を迎えた。通常、各国で商標権を取得するには、その国ごとに出願しなければならないが、マドリッド協定議定書では、日本国特許庁への商標出願又は商標登録を基礎として、商標権を取得したい国を指定して一括して出願手続ができる。最終的に取得したい国で商標権が認められるかどうかは、各国特許庁の判断に委ねられる。
 また、近年はマドリッド協定議定書への東南アジア諸国の加盟が増加しており、日本企業にとってますます魅力的な制度となっている。

海外進出の落とし穴

 商品やサービスの「顔」となる商標権は、国ごとに権利が発生するため、日本で取得しているからといって安心ではない。海外進出先で商標権を取得せずに事業を行った場合に、似たような他者の商標権があると、思わぬトラブルになる可能性がある。この落とし穴は特許も同じだが、「特許協力条約(Patent Cooperation Treaty: PCT)」により、自国の特許庁に出願書類を提出すれば、全ての条約加盟国に同時に出願したものと同じ効果が与えられる制度があるので、以前の60秒解説も参考にしていただきたい。

中小企業向けの海外出願サポート

 特許庁等では、中小企業による海外での知財活動を後押しするため、専門家のサポートを受けられる「海外展開知財支援窓口」や費用補助制度など様々な支援を用意している。海外進出の際にはぜひこれらの支援策を活用してほしい。

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