統計は語る

暑い時には、ペットボトルをごくり

清涼飲料の生産は堅調に推移


清涼飲料の生産が2017年に入ってから急激に伸びており、2期連続で過去最高値となった。

清涼飲料の生産が、食料品工業をけん引

飲食関連産業の動向を指標化した「フード・ビジネス・インデックス(FBI)」のうち、清涼飲料、酒類の各系列の推移を見ると、酒類の生産は長期低落傾向が続いている。その一方で、清涼飲料の生産は2014年の消費税率引上げ時にこそ低下したものの、その後は上昇基調が続いている。

飲料に対する支出の品目別推移

長期的に清涼飲料の生産が伸びているのだが、飲料の需要の状況を品目別支出額の推移で把握してみようと思う。

飲料全体の支出額は2010年ごろから伸びている。支出金額が大きいのは、果汁・野菜ジュースだ。しかし、その支出額は長期的に低落傾向にある。同様に10年ほど前までは果汁・野菜ジュースに次いで支出金額が大きかった緑茶(茶葉)も低落傾向となっている。

他方、伸びているのは茶飲料、コーヒー(インスタントコーヒーやコーヒー豆)、コーヒー飲料、炭酸飲料などだ。その中で支出が多いのは、コーヒーと茶飲料。それに次ぐのが炭酸飲料やコーヒー飲料で、これら品目の生産が、フード・ビジネス・インデックスの清涼飲料生産指数、そして食料品工業の中核を担っている。

夏場に支出が増える飲料への月別支出額

品目別の支出額には、清涼飲料のように夏に支出額が大きくなったり、温かい飲み物のように冬に支出が大きくなるといった季節的な傾向がある。こうした季節的な傾向を、2015~2016年の2年間のデータを用いて抽出(※)してみた。(2015年からのデータとしたのは、品目の中には2015年から採用されているものもあるため)

この季節的な傾向は、1月~12月の平均値が100となるような季節指数という形で算出されており、指数が100よりも大きければ、特に支出が多くなる傾向がある月となり、指数が100よりも小さければ、特に支出が少なくなる傾向がある月となる。このように季節パターンの指数化を行うことで、品目ごとの季節パターンの特徴が比較可能となる。

ご家庭で淹れる緑茶(茶葉)とコーヒー(インスタントコーヒーやコーヒー豆)は年末や春に支出されるが、そのまま飲む「飲料」への支出は、乳酸菌飲料を除いた7品目で、8月が最も多くなるようだ。各飲料とも、7月、8月の支出額は年支出平均の100を大きく超えており、夏場の2か月に飲料はよく飲まれるということのようである。

増産の背景には、支出パターンや天候要因が?

FBIは季節調整を施しているので、清涼飲料の生産指数には、季節変動分は含まれていない。よって、夏場に飲料はよく飲まれるという季節パターンが直接的に、清涼飲料生産指数が今年に入って高い水準になったことの原因ということではない。とはいえ、今年は酷暑が予想されていたことや春先に暑い時期が続いたことなどが、この清涼飲料生産指数のレベルが高くなっていることの遠因と想定することには無理がないと思われる。

※連関比率法という方法を用いて抽出。
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