統計は語る

順調な動きから一転 前月比大幅減の全産業活動指数

10月 反動減に加え台風・大雨の影響も

東日本大震災時に次ぐ低下幅

 2019年10月の全産業活動指数は、指数値103.6、前月比はマイナス4.3%と大きく低下した。この低下幅は、今基準内(2008年1月~)では、東日本大震災の被災月である2011年3月のマイナス7.1%に次ぐ2番目に大きな低下幅となる。また、この指数値は、2017年第1四半期頃の水準となる。
 先月9月までの3か月間は、前月比マイナスなしという順調な動きをみせており、かつ9月が今基準内第2位となる前月比上昇をみせていた。このところの順調な動きの反落に加え、自然災害(台風、大雨)の影響も重なり10月は大幅低下となったものと思われる。
 前月比の「振れ」が大きかった9月、10月だが、これをならしてみれば、平均指数値は105.9となる。この値と8月単月の指数値106.2、あるいは直近の不確実性の偏りが少ない6~8月の3か月平均値106.1と比べれば、若干低下している。前述の自然災害が私たちの生活や産業にもたらした影響などを踏まえれば、この低下差分は致し方ないもの、といえるのかもしれない。10月の自然災害の影響からの復旧・復興需要が、来月以降の活動に上乗せされることに期待したいところだ。

 傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、2019年4月からの上昇傾向から7月に低下方向に転じ、9月、10月の大きな上昇・低下を経て、8月と比べ微減の位置にあることがみてとれる。

内訳3産業すべてが低下

 10月の結果を産業別にみると、内訳3産業すべてが低下となった。サービス産業活動は前月比マイナス4.6%と4か月ぶりの低下、鉱工業生産は前月比マイナス4.5%と2か月ぶりの低下、建設業活動は前月比マイナス0.3%と5か月連続の低下だった。
 10月の全産業活動全体の前月比マイナス4.3%のうち、サービス産業活動がマイナス3.4%ポイント、鉱工業生産がマイナス0.9%ポイントの寄与となっている。サービス産業活動では、先に公表された「第3次産業活動指数」をみると、幅広い分野の業種が低調だったが、なかでも小売業や卸売業といった財の仲介取引関連業種が大きな寄与を占めており、鉱工業生産の低下分を加えれば、モノ取引関連が全体の大幅低下に与えた影響は大きかった、といえる。

基調判断「足踏みがみられる」

 2019年10月は、内訳3産業すべてが前月比低下で、なかでもモノ取引関連産業の動きが低調だった。
 各指数の基調判断は、鉱工業生産は「弱含んでいる」と評価内容としては据え置き、サービス産業活動は「足踏みがみられる」と下方修正している。建設業活動は、「このところ弱さがみられる」という状況からの改善はみられなかった。
 全産業活動全体では、10月は前月比大幅低下で指数値は大きく降下した。3か月移動平均で測る「すう勢」も、低下方向の動きへと変化している。ただ、9月、10月の不規則な動きをならした指数値は、8月の指数値や不確実な動きの偏りが少ない6~8月の3か月平均値と比べ、わずか低下にとどまっている。ちなみこの8月時点の基調判断は、「足踏みがみられる」としていた。また、10月は台風などの自然災害もあり、スポット的に活動量が減少したことも考慮すべきかと考える。いずれにせよ、来月11月以降の動きや回復度を慎重に見極める必要があるだろう。
 このように、動きの内容には不確実な要素やスポット的要因を含んでいるが、10月単月の動き自体は今基準内第2位となる大幅低下だったことを踏まえ、2019年10月時点の全産業活動の基調は、「足踏みがみられる」としている。

【関連情報】

全産業活動指数 結果概要