統計は語る

財別分類でみる鉱工業生産

生産回復の裏に乗用車、二輪車など消費財あり


 鉱工業指数は業種分類の他に、製品が本来持っている経済的用途によって区分し、再編成した「財別分類指数」を作成している。 今回はこの「財別分類指数」についてみていきたい。

鉱工業指数を財別分類にすると

 鉱工業指数を財別分類にすると、以下のように分類される。

 鉱工業製品は、最終製品となる「最終需要財」と、原材料や部品として投入される製品となる「生産財」の大きくふたつに分類される。さらに、「最終需要財」は「投資財」と「消費財」に区分され、「投資財」は「資本財」と「建設財」に、「消費財」は「耐久消費財」と「非耐久消費財」に、また「生産財」は「鉱工業用生産財」と「その他用生産財」に、以下のように定義し、区分している。

財別分類の生産推移

 財別分類の指数推移をみてみると、建設財、耐久消費財は、2013年後半は、前回の消費税増税(2014年4月)前の駆け込み需要もあり、高い水準にあったが、2014年第2四半期以降、やや大幅な低下に転じた。 2016年以降は、耐久消費財、非耐久消費財、鉱工業用生産財は、上下動はあるものの右肩上がりの上昇をみせている。ただ、鉱工業用生産財は、2019年に入り低下傾向がみられる。
 一方、その他用生産財は緩やかながら低下傾向が続いている。資本財は、2017年に大きく回復したが、2019年に入り、振れ幅の大きい動きがみられる。

消費財の用途別推移

 続いて、財別分類のなかでも私たちの生活に身近な「消費財」についてみてみよう。先にみたように、近年、消費財の生産は順調に回復してきたが、さらに消費の用途ごとにみていくと、どのような用途で上昇したのだろうか。
 「消費財」は「家計で購入される製品」として、想定耐用年数が1年以上で比較的購入単価が高いものを「耐久消費財」、想定耐用年数が1年未満で比較的購入単価が安いものを「非耐久消費財」と定義している。
 耐久消費財と非耐久消費財に分類される製品は、それぞれの「用途」によってさらに細かく分類される。この用途別の推移をみてみると耐久消費財、非耐久消費財ともにそれぞれの用途ごとに上昇・低下の動きをみせているが、2016年以降上昇がみられたのは、耐久消費財では「乗用車・二輪車」と「冷暖房用」、非耐久消費財では「家事用」と「食料品」である。化粧品や紙おむつなどが含まれる「家事用」では、輸出が好調であったことも要因としてあるようだ。
 他方、共通して「教養・娯楽用」に区分される品目は低下傾向となっている。耐久消費財の「教養・娯楽用」に区分される主な製品は、携帯電話やパソコンなどだが、国内生産から海外生産にシフトしていることが低下の要因かもしれない。

 このように鉱工業指数は、業種分類だけではなく、経済的用途によって区分した財別分類や、それらをさらに用途別に細かく区分した用途分類ごとに、生産、出荷、在庫等の動きをみることができる。さまざまなシーンで活用頂きたい。