公共工事に復調の動き
6月の建設業活動指数
3か月ぶりに前月比低下も動きは順調
2019年6月の建設業活動は、前月比マイナス1.0%と3か月ぶりの低下、指数値は113.3となった。
6月の前月比低下は、3月のマイナス0.2%の微減に続く今年に入ってからは2回目の低下となるが、3月、6月を除く4か月は、いずれも1.2~1.7%の範囲での大きめの上昇だったことから、これまでの順調な動きのなかの反動的低下といえるかもしれない。なお、昨年末から先月5月までで指数値は6.3ポイントの上昇、平均増分は1.26ポイントであることから、6月の低下分の絶対値はこの平均値を下回るものであり、この点からも小休止的な動きともみてとれる。
最近の傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、昨年後半以降、速いテンポでの低落が続いていたが、今年1月の大幅上昇により上昇方向へ転じ、この流れが6月時点でも勢いを保ちつつ継続していることが確認できる。
2019年第2四半期は、前期比2.3%の上昇、指数値は113.5となった。2017年第3四半期から2018年第4四半期まで6期連続の低下だったが、今年に入ってからは2期連続の上昇と順調な推移をみせている。
明暗分かれる
6月の建設業活動は、民間発注工事が前月比マイナス2.3%と2か月ぶりの低下、公共工事が前月比2.5%と3か月連続の上昇と相反する動きとなった。6月の前月比低下をもたらしたのは、やや失速感がうかがえる民間発注工事だった。一方、公共工事の今年に入ってからの動きは、6か月中5回は前月比上昇で、かつ、そのうち4回は2%台半ばを超える上昇幅となっている。今年に入ってからの公共工事は活発な活動をみせている。
2019年第2四半期は、民間発注工事が前期比0.2%の上昇、公共工事が前期比5.3%の上昇と、ともに2期連続の上昇となった。特に公共工事は第1四半期の前期比が2.8%上昇であり、大きめの上昇が続いています。
内訳5事業でみれば、民間発注工事は住宅建築、非住宅建築、土木工事のいずれもが前月比低下だったが、公共工事は建築工事、土木工事とも前月比上昇と、明暗が分かれた様相だ。
各内訳5事業の動きを細かくみていく。
民間発注工事では、住宅建築は前月比マイナス0.7%と3か月連続の低下で、指数値は103.2にまで低下した。この指数値より小さいのは2016年5月の102.6にまでさかのぼり、実に3年ぶりの低水準ということになる。第2四半期も前期比マイナス0.9%と、7期ぶりに上昇と順調だった第1四半期から一転、再びマイナスに転じた。住宅建築活動には、やや失速感があり、今後の動向が懸念される動きとなっている。
非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス2.1%と2か月連続の低下だった。前月比低下となったものの、今年1~4月まで4か月連続で1%を超える大幅上昇で、特に4月は今基準内最高指数値であったこと、第2四半期は前期比1.0%と2期連続上昇となっていることなどから、反落的動きが続いたともみられる。とはいえ、指数値は137.6にまで後退したことから、来月以降の動きを注視していく必要があるだろう。
民間・土木は前月比マイナス6.4%と2か月ぶりの低下となりました。ここ4か月は大きめの上昇・低下を繰り返しており、動きが不安定な状況にあります。ただ、第2四半期は前期比1.0%と2期ぶりに上昇、指数値は106.3と2018年第1四半期以来5期ぶりに106台の水準に復帰しました。単月の動きは低調ですが、流れでみれば復調の兆しも感じられます。
民間の非住宅建築、土木工事の2事業からなる民間企業の設備投資事業は、これまで5か月連続上昇と強い上昇傾向にあったが、6月は前月比マイナス4.2%と、今年に入ってから初めての低下となっている。
公共工事では、建築工事(庁舎、学校、病院など)は前月比2.9%と3か月連続の上昇、土木工事は前月比2.6%と2か月ぶりの上昇だった。今年に入ってからの6か月は、建築工事が5回、土木工事が4回の前月比上昇で、そのいずれも2%超となる大きめの上昇幅をみせている。結果、直近の谷ともいえる昨年末からの指数ポイント上昇度は、建築工事が16.9ポイント、土木工事が11.7ポイントと、活動水準は大きく復調している。第2四半期は、建築工事が前期比7.4%の上昇、土木工事が前期比4.5%の上昇と、ともに久方ぶりに上昇となった第1四半期の伸び幅を更に上回る上昇力をみせている。
全体としてみると、月単位の動きは上下動が激しく不安定さがある公共工事でだが、今年に入ってからは復調の動きがみられる。今後もこの良好な動きが継続し、復調の動きが続くことに期待したいところである。
基調判断据え置き
2019年6月の建設業活動は、3か月ぶりの前月比低下となったが、指数値は今年2番目の水準を維持している。このところの5か月間では、4回の1%を超える大きめの前月比上昇と、微減が1回という強い上昇傾向のなかの反発的動きともみられる。第2四半期も前期比2期連続の上昇で、第1四半期の伸び幅を上回る勢いをみせている。
内訳事業では、このところの民間住宅建築工事の動きには弱さがみられるなど不安な面もあるが、民間設備投資関連工事の6月の低下は、今年に入ってからの堅調な動きの反発的な動きとも考えられる。また、もともと月々の動きに不安定さがある公共工事には、不透明さは残しつつも復調の動きもみられる。
これらの状況を踏まえ、6月時点の建設業活動全体の基調を「持ち直しの動きがみられる」と評価し、判断は据え置かれている。
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