廃ガラス瓶のリサイクルを支える標準化
私たちの身の回りを見ると、食品や飲料などに使われているガラス瓶は、主に無色、茶色のものが多く、これらは色別に正しく回収できればリサイクルすることが容易である。しかし、近年、輸入ワインの瓶や装飾性の高いカラフルな色付けをされた瓶が増加しており、これら色合いが異なる瓶の混合が回収・リサイクルを複雑にしている。
無色、茶色以外の用途は?
家庭や飲食店で不要となったガラス瓶は、市町村で収集され、「無色」「茶色」「その他」に分別され、異物が取り除かれる。その後、リサイクル工場でガラス瓶を細かく砕き、さらに異物が取り除かれ、もう一度ガラス瓶原料やその他製品の原料として使用される。無色と茶色はガラス瓶として再生される場合が多いが、その他の色はガラス瓶へのリサイクルが難しく、何らか違う用途の他製品へのリサイクルが可能となる技術の開発が必要であった。
循環型社会の構築のための技術開発
ガラス瓶へのリサイクルが困難な廃ガラス瓶のリサイクルについて、主に地盤材料や造園・緑化材料に用いる発泡資材とする技術が開発され、その製品が市場で取引されるようになってきた。発泡することによって軽量化され地盤改良の工事に従事する人たちの負担軽減になり、また、発泡によってできる空洞部分に多くの水分を吸収することが可能となり、多方面での用途も開拓されつつある。この技術は沖縄県の企業が開発を先導してきたが、これは、沖縄県のような観光客が多く訪れるものの、廃棄物の埋立処分場を作ることが困難である経済的及び地理的な要因が技術開発を促進させる背景としてあった。
標準化による信頼性の確保と市場の広がり
今般のガラス発泡リサイクル資材に必要とされる密度や吸水率、硬さなどの品質と、その測定方法を日本産業規格(JIS)として制定することによって、製造者と購入者の間で都度必要だった確認などが軽減される。また、その取引時での評価方法が統一されるなど、効率的な取引と健全な市場形成に繋がることが期待できる。JISの制定により同製品の普及に一層の弾みがつけば、持続可能な循環型社会の構築と拡がりを進めるという大切な施策課題に対しても、標準化が大事な一つの位置づけとなる事例となる。
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