統計は語る

内需の回復が2か月連続上昇に寄与

2019年5月速報の鉱工業出荷


 2019年5月速報の鉱工業出荷は、季節調整済指数で104.3、前月比1.6%と、2か月連続の上昇となった。内需(国内向け出荷)は前月比1.4%と2か月連続の上昇、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス1.0%と3か月連続の低下だった。
 5月は輸出向け出荷が前月比低下となったが、国内向け出荷の上昇寄与が大きかったことで、鉱工業出荷全体は上昇することになった。
 出荷水準をみると、5月の国内向け出荷指数については104.5となり、2017年12月以来の水準まで上昇した。
 一方、輸出向け出荷は、本年1月以降の動きをみると、国内向け出荷とやや異なる動きをしている。輸出向け出荷指数は1月に98.1まで大きく低下したものの、2月はその急落分を上回る上昇をみせた。しかし3月以降、低下を続けている。
 外需はここ最近低下傾向で推移しているものの、内需が4月以降回復をみせたことで、4月・5月の鉱工業出荷は引き上げられた形である。

業種別の動向は

 5月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中8業種が前月比上昇だった。特に上昇寄与が大きかったのは電気・情報通信機械工業で、それに次ぐ上昇寄与をみせたのは輸送機械工業だった。

 5月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中6業種が前月比低下となった。特に低下寄与が大きかったのは汎用・業務用機械工業だった。それに次いで、化学工業(除.医薬品)の低下寄与が大きくなっていた。

需要先用途別にみてみると

 5月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみる。

 設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は大幅に上昇し、前月比8.0%と2か月連続の上昇だった。輸出向け出荷は、前月比マイナス1.3%と3か月連続の低下だった。
 設備投資向けの財の国内向け出荷は、本年1月に前月比マイナス9.7%と大幅に低下し、以来、低下と上昇を繰り返していたが、5月は大幅に上昇し、1月の低下分の多くを取り戻しつつある形である。
 消費向けの財では、耐久消費財の国内向け出荷は前月比2.2%と2か月連続で上昇する一方、輸出向け出荷も前月比2.5%と4か月ぶりの上昇となった。
 非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比マイナス2.4%と2か月ぶりに低下し、輸出向け出荷も前月比マイナス8.8%と2か月ぶりの低下となった。非耐久消費財は4月は国内向け・輸出向けとも出荷は好調だったが、その勢いは続かなかったようだ。
 製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷が前月比3.3%と2か月ぶりの上昇だった。輸出向け出荷は前月比マイナス2.1%と4か月ぶりの低下だった。

輸出仕向け先別の動向

 5月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、ASEAN向け、欧州向けが低下したことで、輸出向け出荷は3か月連続の低下となった。

【関連情報】
結果概要のページ

参考図表集

鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました