統計は語る

自動車生産のグローバル化映す海外出荷指数

「第三国向け」の出荷の上昇寄与が初めて最大に


 経済解析室では、製造業のグローバル展開を踏まえ、日系製造業の国内外の拠点全体での出荷の動向を一元的に捉える観点から、「グローバル出荷指数」を公表している。「グローバル出荷指数」は、国内拠点からの出荷(国内出荷)と海外現地法人の海外拠点からの出荷(海外出荷)の動きを比較可能な形で指標化し、合算した試算値である。

 今回は、その中から日系製造業の海外現地法人の出荷を示す海外出荷指数の仕向け先別の動きについて紹介する。

「自国向け」出荷、「第三国向け」出荷が上昇

 2018年の海外出荷指数は、指数値108.0、前年比1.7%と2年連続の上昇となり、過去最高値となった。

 海外出荷指数では、海外現地法人の仕向け先ごとに、自国向け(=現地法人の立地国向け)、日本向け、第三国向けの各指数を計算している。
 2018年の指数値をみると、第三国向け指数が指数値111.3の前年比3.7%、自国向け指数が指数値109.1の前年比2.0%と、2015年基準内ではそれぞれ5年連続の上昇と、グローバル化の進展を感じさせる結果となった。また、日本向け指数も指数値106.4と前年比1.3%と2年連続の上昇となった。なかでも第三国向けは、2017年と比較すれば上昇幅は縮小しているが、海外出荷全体や他の仕向け先と比較して勢いがあったようだ。
 下のグラフの年ベースの仕向け先別寄与度をみると、2017年までは海外出荷指数の上昇に「自国向け」出荷が最も寄与してきたが、2018年は、海外出荷全体の前年比1.7%上昇に対して、「第三国向け」出荷が1.35%ポイントの上昇寄与となり、2015年基準としては初めて「第三国向け」が最も上昇に寄与した要因となっている。

 自国向け出荷が海外出荷に占める構成比は5割を超えており、日系製造業での海外生産法人の位置付けは、消費地で生産、という位置付けがいまだ大きいのかもしれない。しかし、2018年に関しては構成比が4割近い第三国向け出荷の上昇寄与が大きくなった。第三国向け出荷を業種別に見ると、下のグラフの通り、輸送機械工業の上昇が目立った。
 日本の自動車産業では海外に生産拠点を広げており、部品から完成車まで生産体制のグローバルな最適化を図ってきていることが、第三国向け出荷の継続的な上昇をもたらしていると考えられる。

【関連情報】

ミニ経済分析「グローバル出荷指数 2018年(2015年基準)」のページ

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