60秒早わかり解説
原発の安全を守る最前線
関西電力は、8月から電気料金を平均で4.29%値下げすると発表した。関西圏の経済に大きなインパクトがあるこの発表のかげには、高浜原発(3、4号機)の再稼働と、たゆみない安全対策の努力があった。
津波に耐える8メートルの壁
冒頭の写真は、最悪の津波を想定して、高浜原発の沿岸部に張り巡らされた、高さ8メートルの壁だ。津波が押し寄せても耐えられるように、地中深くにまで基礎の杭が伸びている。また、地震の激しい揺れで壊れないように、ゴムで衝撃を吸収するようにしながらも、津波で流されてきた漂流物が、そのゴム部分を突き破ってしまわないように、構造にも様々な工夫がこらされている。
電源車などの緊急設備は分散して配置
また、原発を冷却するための非常用の電源車や、移動式のポンプも、原発の敷地内の高台に、分散して配置されている。竜巻などによって、一度に設備が全滅してしまわないようにするためだ。ガレキを撤去するためのブルドーザーも常に用意しており、福島第一原発の事故の重い教訓がいたるところに活かされている。
作業員の絶え間ない訓練も
こうした安全対策は、設備だけを整えれば良いというものではない。その設備を実際に使う職員のスキルアップも重要だ。昨年も2900回もの訓練を行うことで、現場の技能と士気を高いレベルで保っている。
規制委員会の厳しい審査を経て
独立した規制委員会による世界最高水準の審査を受けて再稼働した高浜原発だが、その安全対策には終わりはない。7月末には、こうした対策の最前線を、世耕経済産業大臣が視察し、現場の職員を激励した。国と電力会社が、「安全神話」に陥って、原子力事故を起こすことは二度と許されない。
【関連情報】