統計は語る

民間建築工事の動きに改善の動き

2019年4月の建設業活動指数

今年3回目の1%超の上昇

 2019年4月の建設業活動は、前月比1.2%と2か月ぶりの上昇、指数値は112.7と、昨年6月以来となる112台に復帰した。
 前月比は、今年に入ってからの4か月のうち、実に3回目の1%を上回る大きめの上昇幅となっており、唯一低下となった3月も微減にとどまっている。昨年5月から昨年末にかけての8か月間は前月比微増1回、横ばい1回以外は前月比低下とほぼ一律な低落だったので、これと比べれば、今年に入ってからの動きはきわめて良い動きが続いている、といえるだろう。また、昨年末の指数値は108.1だったことから、これと比べれば指数値は4.6ポイントと大きく上昇、今年に入ってからの平均増分は1.15ポイント上昇と、平均風速でも勢いは強いということがわかる。
 4月は、継続性、強さの両面で、今後へのさらなる期待感を持たせる動きを維持しており、新年度の初月としては、上々の出足をみせている。
 なお、昨年末までの8か月に及ぶほぼ一律な低落期の指数値降下分はマイナス5.8ポイントであることから、これに対する回復度は8割程度に到達してきた。本格的な復調という意味では、あと一歩というところだろうか。

 最近の傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、昨年後半以降、速いテンポでの低落が続いていたが、今年1月の大幅上昇により上昇方向へ転じ、この流れが4月時点でも勢いを保ちつつ継続していることが確認できる。

公共工事が大きく寄与

 4月の建設業活動は、民間発注工事が前月比マイナス1.0%と4か月ぶりの低下、公共工事が前月比5.0%と2か月ぶりの上昇と、3月に続き相反するものとなった。今年に入ってからの動きは、双方とも4か月中3回は前月比上昇で、かつ、指数値は足元の第1四半期値を大きく上回っている。単月では相反する動きが続いているが、民間発注工事と公共工事とも、総じてみれば順調な動きといえるだろう。
 内訳5事業でみれば、公共工事は建築工事、土木工事双方が前月比上昇、民間発注工事では非住宅建築が前月比上昇となった。特に、公共土木工事の上昇インパクトが建設業全体の動きに与えた影響は突出して大きく、全体のけん引役となっている。また、民間非住宅建築も今基準内の最高値を記録するなど、このところの好調を維持している。

 内訳5事業をそれぞれみてみると、民間発注工事では、住宅建築は前月比マイナス0.7%と4か月ぶりに低下した。ただ、指数値も105台を維持しており、7期ぶりに上昇となった足元の第1四半期値を上回っているため、活動量自体は堅調さを保っているといえるだろう。
 非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比1.4%と4か月連続で1%を超える大幅上昇、指数値は今基準内最高位を更新する142.8にまで到達した。一時は弱含み推移にあったが、このところの動きは好調さが戻ってきた。
 民間・土木は前月比マイナス7.2%と3か月ぶりの低下となった。このところ弱含みでの推移が続くなか、3月は大きく上昇し指数値は110台にまで復帰したが、4月の動きは3月の上昇幅を上回る低下幅で、指数値は大きく後退した。内訳5事業のなかでは、唯一、4月の指数値が足元の第1四半期値を下回っており、動きの弱さが残っている。
 公共工事では、建築工事(庁舎、学校、病院など)は前月比5.9%、土木工事は前月比5.0%と、ともに2か月ぶりの上昇で、双方とも、4月の上昇幅は大きく、3月の低下幅を上回る上昇幅だった。足元の第1四半期は、建築工事が4期ぶりの上昇、土木工事が7期ぶりの上昇、と久方ぶりに上昇に転じたところだが、その第1四半期の指数値を大きく上回る活動量をみせている。
 ただ、公共工事全体として、月単位の動きでみれば上下動が激しく不安定さがあるなか、近年では春先の活動量が高まる傾向がみられること、前年同月比の低下幅は縮小傾向にあるが、長らく前年水準割れが続いていることなどの観点から、完全に復調したとまではいいきれない状況にある。

持ち直しの動き

 2019年4月の建設業活動は、2か月ぶりの前月比上昇、しかも今年に入ってから3回の前月比上昇が、いずれも1%を超える大きめの上昇をみせている。また、指数値も7期ぶりに上昇となった足元の第1四半期値を大きく上回っており、昨年5月以来となる113台の水準近くまで復帰した。
 内訳事業では、民間土木工事の動きにはまだ弱さが残っているが、民間建築工事関連の2事業にはこのところ堅調な動きがみられる。また、もともと月々の動きに不安定さがある公共工事2事業には、不透明さはあるものの下げ止まりの動きともとれる兆候がみられてきた。
 総じてみれば、建設業活動全体の4月の動きには、先月3月よりも改善の動きや明るい兆しが、より鮮明になってきた。
 よって、4月時点の建設業活動全体の基調は、不透明な側面はあるものの期待値を含め「持ち直しの動きがみられる」に上方修正している。

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全産業活動指数 結果概要