統計は語る

2年連続上昇の鉱工業生産・出荷 牽引役の実態に迫る

輸出向け出荷指数を分析【前編】


 経済解析室では、「鉱工業出荷内訳表」を毎月公表している。これは、国内の鉱工業製品に対する需要が内需(国内向け)・外需(輸出向け)のいずれの要因によっているかを定量的にとらえる指標である。
 2017年、2018年と2年連続の上昇となった鉱工業生産・出荷だが、これは内需・外需ともに上昇となったため。下のグラフをみてみると、内需の伸びは緩やかなものにとどまっていた一方、外需の伸びの方に勢いが感じられるが、後者はどのような業種が要因となっていたのだろう。
 今回は、輸出向け出荷指数に注目し、その業種別の動きについて確認してみる。

 では、輸出向け出荷指数の上昇に、どの業種が寄与したのかを見てみよう。

 上のグラフをみてみると「鉄鋼・非鉄金属工業」、「電子部品・デバイス工業」以外は2017年、2018年と右肩上がりで推移している。2018年の指数値も「鉄鋼・非鉄金属工業」と「電子部品・デバイス工業」以外は基準年である2015年の100を上回っており、輸出向けの好調さがうかがえる。

 では、輸出向け出荷指数の上昇に、どの業種が寄与したのかを見てみよう。
 2017年は前年比6.2%上昇となったが、特に上昇寄与度が大きかったのは「生産用機械工業」、「輸送機械工業」、「電子部品・デバイス工業」 である。
 2018年は前年比2.4%上昇となったが、特に上昇寄与度が大きかったのは「輸送機械工業」、「生産用機械工業」、「汎用・業務用機械工業」である。

 なお、2018年まで上昇してきた輸出向け出荷だが、同年後半以降、低下がみられるようになった。上の図をみると、昨年第3四半期に天候不順の影響もあり輸送機械工業が低下した影響もあるが、加えて、それまで輸出向け出荷の上昇をけん引していた、半導体集積回路等の「電子部品・デバイス工業」や半導体製造装置等の「生産用機械工業」、「汎用・業務用機械工業」で低下傾向にあることが、輸出向け出荷の低下に影響していることが読みとれる。
 個別業種ごとの動向の説明については、次回に続く。

【関連情報】
鉱工業出荷内訳表のページ