統計は語る

大幅上昇の反動減も小さく なお高水準の11月の全産業活動

 
  2018年11月の全産業活動指数は、前月比マイナス0.3%と2か月ぶりの低下、指数値は106.4となった。10月は前月比2%台に達する大幅上昇、これは今基準内(2008年1月~)では2番目となる極めて大きな伸びだった。これを踏まえれば、11月の動きは前月比低下とはいえ、10月大幅上昇の反動的な動きの範ちゅうにあり、全産業ベースの活動自体は引き続き活発だったともいえるだろう。
 今年度に入ってから指数値106超となったのは、これで実に4回目とこの水準が定常化しつつある。
 なお、前年同月比も1.2%と2か月連続の上昇だった。

 上の図で傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、7月以降は低落傾向にあったが、10月の好調な動きにより上昇に転じ、その活発な活動量を維持した11月の動きにより、速いテンポで復調しつつある様相がみてとれる。

建設業の連続低下に歯止め

 11月の結果を産業別にみると、このところ弱含みで推移していた建設業活動が前月比1.9%の上昇と連続低下に歯止めがかかったが、他の2活動は前月比低下だった。ただ、低下した2活動も、鉱工業生産は10月前月比プラス2.9%→11月前月比マイナス1.0%、サービス産業活動は10月前月比プラス2.2%→11月前月比マイナス0.3%と、10月大幅上昇の反発的な動きは弱いものだった。
 なお、全産業活動の11月前月比マイナス0.3%のうち、鉱工業生産、サービス産業活動ともにマイナス0.2%ポイントと、全体に与えたインパクトは同程度だった。

前月比低下とはいえ悪くない

 11月の全産業活動は、前月比低下とはいえ、10月大幅上昇の反動的な動きの範ちゅうにあり、全産業ベースでみれば悪くはない動きだった。内訳の鉱工業生産とサービス産業活動も前月比は低下だったが、全産業活動全体と同様なことがいえる、ということは前述のとおりである。
 以下のグラフは、全産業活動指数の内訳3活動、及びウエイトの大きなサービス産業活動の内訳として、先に公表された「第3次産業活動指数」上の大分類11業種を加え、ここ2か月の動きをプロットしたものである。(以下、この章では、これら3活動と11業種を合わせた計14分類を「事業」と呼ぶこととする)

 これをみると、11月が前月比低下した事業のなかで、11月の前月比低下幅が10月の前月比上昇幅よりも小さかった事業が大半を占めていることがみてとれる。
 11月に前月比が上昇した事業は言うまでもないが、11月に前月比低下となった事業のほとんどが、活動が活発化し好調だった10月の反動の範ちゅうにある動きであった、といえるだろう。特に、サービス産業活動に含まれる事業である卸売業は、10月好調の反発的な動きが思いのほか少なかったようだ。このほか、生活娯楽関連サービス、「運輸業,郵便業」、鉱工業生産なども、反動がかなり少なめだった事業といえる。
 次に、活動水準をみてみる。全産業活動全体の2018年第2四半期(4~6月平均)値は、今基準内第3位に位置し、リーマンショック以降では最高水準だった。他方、第3四半期(7~9月平均)は、各月に災害等の不安定要因もあり、前期比はマイナスと低調だった。この直近2四半期の各値と、10~11月の平均指数値を事業別に比較してみる。
 以下のグラフは、Y軸に第2四半期値に対する10~11月平均値の増減率、X軸に第3四半期値に対する10~11月平均値の増減率を、全産業活動指数の内訳3事業、及びウエイトの大きなサービス産業活動の内訳大分類11事業についてプロットしたものである。

 全産業活動の内訳3事業のうち、建設業活動では10~11月の平均値が直近2四半期を下回っているが、鉱工業生産とサービス産業活動では、10~11月の平均値が直近2四半期を上回っている。特に、サービス産業活動の第2四半期水準は今基準内最高位となる高水準だったが、ここ2か月平均値は、それを上回る水準に達している。
 サービス産業活動の内訳事業では、電気・ガス・熱供給・水道業を除き、10~11月平均値が、サービス産業活動全体として最高水準に到達した第2四半期値と同等、もしくは上回る勢いにあることがみてとれる。
 このことからも、11月の全産業活動指数は、前月比低下とはいえ動きは前月10月の反動的低下幅にとどまり、指数値は高い水準にあることがわかる。

緩やかな持ち直しの動き

 2018年11月の内訳3活動の動きは建設業活動が上昇だったが、鉱工業生産とサービス産業活動は低下した。ただ、低下した2活動も、10月の大幅上昇からの反発といえる範ちゅうの動きだった。各指数の基調判断は、鉱工業生産は「緩やかに持ち直している」、サービス産業活動は「持ち直しの動き」と、ともに10月に上方修正した判断を据え置いている。他方、建設業活動は、当月上昇とはなったが、依然として「弱含みの動き」から抜け出たとはいえない。
 全産業活動全体では、11月は小幅な前月比低下だったが、指数値は106台半ばを維持しており、2008年前半のリーマンショック前の高い水準域で推移している。このほか、3か月移動平均で測る「すう勢」も、上昇方向にある。
 これら材料から考えると、2018年11月の全産業活動は、「緩やかな持ち直しの動き」を継続しているとみられ、基調判断は据え置いている。

【関連情報】
2018年11月の全産業活動は小幅な前月比低下も、指数値は106台の高水準域を維持。基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」に据え置き。

全産業活動指数 結果概要