統計は語る

低空飛行がいまなお続く建設業活動

順調だった民間非住宅建築の動きにも陰り

指数値、2年前の水準に戻る

 10月の建設業活動は、前月比マイナス1.2%と2か月連続の低下で、指数値は110.8となった。この指数水準は2016年12月以来の水準域レベルであり、約2年前の水準に戻ってしまった。
 建設業活動指数は、昨年春を活動のピークとし、以降は低落傾向ながらも高い活動水準で推移していた。しかし、今年6月に指数値は急降下、以降も低落傾向が続いており、この10月に至っても低空飛行が続く。
 指数水準の直近ピークは今基準内(2008年1月~)最高位となる昨年5月だが、このときの指数値と比較すると、ここ1年半で10ポイント近く指数値が下降したことになる。特に今年6月以降の5か月間では実に指数値5.5ポイントの下落と、加速度を増して低下している。

 後方3か月移動平均値でトレンドをみると、ここ数か月の下降ペースが増している様相で、弱含み傾向が続いていることが確認できる。

公共工事など続落

 10月の建設業活動は、民間発注工事が前月比横ばい、公共工事が前月比マイナス2.3%で3か月連続の低下だった。10月の建設業活動全体の低調な動きには、公共事業の動きの弱さが大きく影響した。
 ただ、民間発注工事も全体では前月比横ばいとはいえ、春先までは順調な動きで他の工事の不調をカバーしていた非住宅建築が、当月微減ながらも3か月連続の低下と、高止まりの様相が一層と強まってきた。

 民間発注工事では、住宅建築は前月比0.5%と4か月ぶりの上昇だった。連続低下には歯止めがかかったものの、ならしてみれば昨年後半から続く弱含み傾向が続いている。
 非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス0.1%の微減にとどまりまったが、今基準内最高値を記録した今年7月以降は、3か月連続の低下である。しかも、前2か月はいずれもマイナス1.5%超の大きな低下幅であり、活動水準は高いながらも停滞感がより明確になってきた。昨年までの強い上昇傾向を考えると、ここ3か月間の動きは「不調」といえるだろう。
 民間・土木は前月比マイナス1.0%と2か月連続の低下となった。低下ではあるが、順調だった今年の第1、第2四半期並みの水準を維持している。ならしてみれば高い水準での横ばい、といったところだろうか。
 公共工事では、公共・建築(庁舎、学校、病院など)は前月比マイナス2.5%と、2か月連続の大きめの低下となり、今年第1四半期をピークに低下傾向にある。公共・土木は前月比マイナス2.1%と、こちらも2か月連続の低下となった。
 指数値でみれば、建築と土木とも動きの弱かった足下の第3四半期値を更に下回る水準にまで下降しているので、第4四半期のスタート月としては、厳しい出足となった。

弱含み傾向続く

 2018年10月の建設業活動は、前月比は連続低下で、指数値も約2年前の水準域にまで降下し、2016年第1四半期以来の低位での推移が続いている。不調だった今年第3四半期値からさらに水準を下げている。
 内訳事業でも、民間住宅建築の動きに強さはいまなお戻らず、従来から動きには不安定さがある公共工事も、ここ3か月の動きは一貫して弱いものだった。
 また、民間投資関連工事は、高い水準での推移だが、このところの動きには弱さもみえてきた。特に、民間非住宅建築活動のここ3か月の動きは不調で、動きの停滞感がより明確なものになっており、他の事業の弱さをカバーするほどの力はなくなりつつある。来月以降の動きが引き続き懸念される。
 総じてみれば、今月も内訳の各事業の傾向には変化はみられず、いずれも復調の兆しはみられなかった。今月10月時点の建設業活動全体の基調は、引き続き弱含み傾向にある。

【関連情報】
2018年10月の建設業活動指数は2か月連続の低下、公共工事が3か月連続低下と不調。指数水準は約2年ぶりとなる110台にまで下降し、低空飛行が継続、建設業活動は弱含み傾向が続く。

全産業活動指数 結果概要