
【万博60秒解説】「月の石」が再び米国館にやってくる!(この海外パビリオンがすごい⑧)
まもなく開幕する大阪・関西万博。55年前の大阪万博で来場者を熱狂させた「月の石」が米国館に再び展示されます。経済産業省の万博担当者が独断と偏見で海外パビリオンを紹介してきたこのシリーズ。開幕前最終号として、今回は米国館と「月の石」について紹介します。

「月の石」と宇宙開発競争の歴史
まずはおさらいです。1970年の大阪万博で、米国館の「月の石」を見るためにできた3時間も4時間も待つ、長い長い行列。当時の万博への人々の熱狂ぶりを象徴するエピソードとして今でも語り草ですね。当時の米国館に展示されたのは、アポロ12号の宇宙飛行士が月面から持ち帰った「月の石」。万博期間中にアポロ13号の奇跡の生還(映画にもなりました)のニュースもあり、アポロ着陸船の展示なども相まって、大人気となりました。ですので、米国館は55年前の万博で最も人気の海外パビリオンだった…… 訳ではありません。公式記録によれば、最も来場者を集めたのは、実は、ソ連館のほう。こちらもソユーズの実物を展示するなど、宇宙開発をテーマにした展示でした。会場内が、米ソの「宇宙開発競争」のまさに現場でもあったのです。
大阪・関西万博の「月の石」の記憶
それから55年後の大阪・関西万博の米国館。今回の米国パビリオンでも「月の石」が再び展示されます。今回の「月の石」は、アポロ計画の最後の有人月面着陸が行われたアポロ17号が持ち帰ったもの。1970年万博の記憶を持つ日本人の密かな期待に、開幕直前になって、米国側も応えてくれた形になりました。

(経産省職員撮影)
「石」が示唆する人類のフロンティア

米国パビリオンの大きなテーマの一つは、宇宙開発です。現在進行形の宇宙開発ミッションが「アルテミス計画」。月を拠点として、いずれは火星に人を送る計画です。そのミッションで用いる予定の高さ3メートルのロケット模型も展示されています。2面の大型LEDスクリーンには、米国を象徴する画像や名所を映し出し、「峡谷」のような空間が作り出され、時折、宇宙開発に関連した映像が流れています。来場者が大きな夢を持ち、米国と共に歩んでほしいという願いを込められたパビリオン。月を「目的地」とする夢を実現したアポロ計画から半世紀以上。人類は、月を「経由地」として、今度は火星を目指す夢を実現させる旅に出ようとしています。2025年の米国パビリオンで、「月の石」をきっかけに、人類の宇宙への夢のありかを確認してみてください。
経済産業省 博覧会推進室
【リンク先】
大阪・関西万博 海外パビリオン
アメリカ館公式HP