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競争力強化のために自社の多様性推進の在り方を見直してみませんか。「ダイバーシティレポート」公表しました!

経済産業省は、令和7年4月、イノベーション創出を目指す企業や国際競争力を高めていきたい企業に向けて、「企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)」を公表しました。

日本企業がダイバーシティ経営に取り組む際に直面する課題を踏まえ、経営陣に求められる考え方や、具体的取組のヒントを掲載しています。

日本企業をとりまく環境の変化と競争力の現状

グローバルな経営環境や労働市場の供給構造が急激に変化する中で、企業の同質性が高い組織は、変化への対応力に乏しく、チャンスを狭める可能性もあります。
IMD「世界競争力年鑑」における日本の競争力順位の変遷によれば、日本の競争力が低下傾向にあるというデータが示されています。様々な要因が考えられますが、その一つとして、同質性の高い組織文化が影響している可能性が考えられます。

IMD「世界競争力年鑑」における日本の順位(総合および4大分類)〈出典:三菱総合研究所 IMD「世界競争力年鑑2024」からみる日本の競争力 第1回:データ解説編〉

競争力強化につながるダイバーシティ経営とは?

企業の競争力の維持・強化のためには事業戦略、財務戦略、DX推進、GX推進等、様々な観点での戦略立案と実行が必要ですが、多様性のマネジメントもその中の一つです。

企業は、同質性から脱却し、経営戦略実現に必要かつ多様な知・経験を持つ人材が活躍することができる環境の整備と、組織文化の醸成を行うことで、イノベーションを生み出し価値創造につなげていくことができます。このような経営を経済産業省では「ダイバーシティ経営」と呼んでいます。

法令遵守や情報開示などの社会的要請が多様性推進のきっかけとなった企業も多いかもしれませんが、多様性推進は、それ自体が目的なのではなく、経営戦略実現のために必要な手段の一つです。

今回公表したダイバーシティレポートにおいても、一貫してこのメッセージを発信しています。

知・経験の多様性と企業の価値創造の関係性 〈出典:企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)〉

企業の取組の形式から実質への深化に向けて 〈出典:企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)〉

ダイバーシティレポートの内容

本レポートは、令和6年11月に立ち上がった「多様性を競争力につなげる企業経営研究会」における議論内容をまとめたものです。

【コンテンツ】
①経営陣へのメッセージ
POINT:取締役会と社長・CEOら経営陣双方に対して、自社の競争力強化の観点からなぜ多様性推進に取り組む必要があるのか、事例を交えて掲載。

②多様性推進に関する経営陣の課題感の解消に向けて
POINT:経営観点から見た多様性の必要性に関する課題感に答えるかたちで、競争力につながるダイバーシティ経営の考え方を掲載。

③実際にダイバーシティ経営に取り組む際の課題感と競争力強化につなげるための対応とは
POINT:ダイバーシティ経営担当役員や担当者が具体的取組を進める際に抱えている課題感に答えるかたちで、企業に求められる具体的なアクションを掲載。
【アクションの一例】
●アクション推進の基盤整備:ダイバーシティ経営に取り組む前提として、事業環境に応じた適切な経営戦略の策定とそれに紐付く人材ポートフォリオの策定を行う。
●ダイバーシティ経営の取組方針策定:経営陣の強いコミットメントのもと、経営戦略実現に向けて必要な人材が活躍するためのDiversity、Equity、Inclusionの必要性や在り方を検討し、ダイバーシティ経営の取組方針を組織へ浸透させる。
●事業・地域特性等を加味した環境・ルールの整備:多様な知・経験を持つ従業員が活躍できるよう、DX等を通じて業務プロセスの見直し等を行う。

本レポートで取り上げている課題を自社の状況に落とし込んで考えた際、自社の競争力強化のためになぜこのアクションが必要なのか、どのような取組を組み合わせて、実践していくことが最も効果的か、ぜひ想像しながら読み進めてみてください。

経済産業省 経済社会政策室

【関連情報】
企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)
多様性を競争力につなげる企業経営研究会
経済産業省におけるダイバーシティ経営の推進