大阪・関西万博特集

【万博60秒解説】会場はペロブスカイト太陽電池の社会実装の最前線!

まもなく開幕する大阪・関西万博。会場は「未来社会の実験場」として、様々な政策分野において、最先端の研究開発の成果や実証事業を実際に間近で見たり、体験したりすることができます。今回取り上げるのは、GX分野の超注目株。次世代の太陽電池として期待されている「ペロブスカイト太陽電池」です。

(出典)豊田合成株式会社

まずは、おさらいから。ペロブスカイト太陽電池は、これまで主流であったシリコン太陽電池と比べ、薄型・軽量で曲面にも搭載しやすく、柔軟性があるため、これまで太陽電池の設置が難しかった場所への設置も可能です。しかも、主要な原材料であるヨウ素は、日本が世界第2位の産出量(世界シェアの約3割)。経済安全保障の面からも、優れたものだと考えられています。

衣服で発電!? 発電できるユニフォームが登場

従来型の太陽光パネルは「屋外の平地か、屋根の上に設置するもの」というのが常識でした。ペロブスカイト太陽電池は、その常識を取っ払い、様々な場所へ自由に設置するアイデアが検討されています。ビルの窓、屋内?……万博会場では、更にその上を行くようなアイデアを実装します。ずばり、「人間」に貼りつけます。

とあるパビリオンでの、スタッフユニフォームが実装先のひとつです。これは、豊田合成とエネコートテクノロジーズ、セーレンの協業製品となる「スマートウェア」。背面に貼り付けられたフィルム型ペロブスカイト太陽電池で発電された電力は、蓄電ユニットを介して、ユニフォームに備え付けられたファンを回したり、スマホを充電したりすることができます。

スマートウェアを着ていれば、快適な空調を身にまとい、スマホやパソコンの電池切れも心配ありません。

そして、こうしたアイデアがどんどん社会実装されていけば、あらゆるところで電気が生み出されるという未来も夢ではありません。「街中、どこでも発電所」になるのです。

世界最大級のペロブスカイト太陽電池も

(出典)積水化学工業株式会社

以前の記事でご紹介したとおり、バス来場者が到着する西ゲート近くのバスターミナルにも要注目。積水化学工業による世界最大級のペロブスカイト太陽電池が貼り巡らされています。従来型では設置できない、曲がった屋根に約250メートルにわたってペロブスカイト太陽電池を設置。日中に発電し、蓄電した電力を夜間のLED照明にて来場者の皆様を照らします。

さらに、大阪ヘルスケアパビリオンの館内、パナソニック館の窓、未来の都市のスマートポール。会場内には、目を凝らすと、様々な場所にペロブスカイト太陽電池が設置されています。

2025年度からは国内で事業化が予定されているペロブスカイト太陽電池、関西にゆかりのある関係企業も多く、世界を変える再エネ産業が関西から育っていくかもしれません。万博会場で次世代の再エネ技術を目の前でご覧いただき、未来社会のイメージの精度を上げてみてはいかがでしょうか?

経済産業省 博覧会推進室
新エネルギー課

【リンク先】
月刊日本館 ペロブスカイト太陽電池特集ページ
エネこれ 経済産業省資源エネルギー庁HP 未来のエネルギー技術が集結!大阪・関西万博の見どころをチェック ~太陽光・水素編 |エネこれ|資源エネルギー庁