大阪・関西万博特集

【万博60秒解説】カーボンニュートラルに大貢献!「CO2を吸収するコンクリート」に注目せよ

まもなく開幕する大阪・関西万博。会場では、「未来社会の実験場」として政策分野毎に最先端技術の数々を垣間見ることができます。いくつかの建造物やベンチに用いられているのは、何と「CO2を吸収するコンクリート」。今回は、外見だけからは分かりませんが、カーボンニュートラルに大きく貢献する、この最新の環境配慮型コンクリート技術について紹介します。

コンクリートがCO2を吸収するメカニズム

通常使われるコンクリートは、「セメント」と「水」が反応して固まります。これに対して、万博会場で使われている「CO2を吸収するコンクリート」は、大気中の「CO2」と反応して固まる特殊なコンクリート。使用するセメントの量も減らして、セメント製造時のCO2排出量も削減します。こうした技術は、万博会場の西エントランス近くにある半円形の建物「サステナドーム」や路面、ベンチなどに活用されています。サステナドームでは、通常のコンクリートと比べてCO2排出量を7割も削減。地球温暖化の原因となっているCO2を「資源」として捉え直し、CO2を活用することでその排出を減らしていこうとする「カーボンリサイクル」の考え方に沿った新技術の一つとして位置づけられています。

CO2「種類」にも着目した有効活用がカギ

一口に「CO2を活用する」といっても、CO2の排出源は多種多様で、CO2の排出量や濃度もまちまち。カーボンリサイクルの取組を社会全体に普及させていくためには、排出源の多様さにいかにして対応して、CO2を有効に活用していくか、という視点が重要になってきます。

その点、万博会場では、まさに多種多様な種類(?!)のCO2を活用しています。「未来の都市」パビリオン(先日の60秒解説でも紹介しました)に設置されたベンチや通路ブロックの製造に用いられたCO2は、清掃工場やバイオマス発電所から排出されたもの。サステナドームの舗装ブロックについては、DAC(Direct Air Capture)と呼ばれる大気中から直接に装置を使って回収したCO2が利用されています。なお、会場内には、地球環境産業技術研究機構(RITE)が設置したDACの実機設備が実際に稼働して見学もできるようになっています。

目指すはカーボンネガティブの世界

これらの技術が社会にどんどん広がって、より多くのCO2を吸収して活用できるようになれば、CO2の排出をゼロにするどころか、さらに「マイナス」にすることもできます。これは、「ネガティブ・エミッション技術」として注目され、さまざまな企業が技術開発に取り組んでいます。建設業で排出されているCO2は総量として無視できない大きさです。カーボンニュートラルな建物は、社会全体の脱炭素化にも重要なステップとなります。

会場内には、大きなものから小さなものまで、カーボンニュートラル社会を実現するための最先端の社会実装の試みが散りばめられています。会場内を散策して、それぞれの技術を実際に見たり感じたりしながら、間近に迫るカーボンニュートラル社会のリアリティに想像をめぐらせてみる、というのも、この万博の楽しみ方の一つです。

経済産業省 燃料環境適合利用推進課

【リンク先】
グリーンイノベーション基金「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」
未来のエネルギー技術が集結!大阪・関西万博の見どころをチェック ~カーボンリサイクル編
未来社会ショーケース「未来の都市」
2025年日本国際博覧会 サステナドーム実施製作・運営管理
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