
【万博60秒解説】この建築デザインがすごい~若手デザイナーたちの飛躍を期す未来建築を見逃すな~

まもなく開幕する大阪・関西万博。会場内を見渡すと、海外パビリオンだけでなく、ちょっと風変わりで斬新な設計の建築物があちこちで目に留まります。これらは、若手建築家が設計を手がけた、イベント施設、休憩所、トイレなど。デザイン性溢れるこれらの施設は、建築通の玄人筋にはもちろん、一般の方々にとっても、大きな見どころの一つです。
若手建築家は万博で飛躍してきた
会場内には、既に名が知れ渡ったベテラン建築家ではなく、敢えて「若手」の建築家が設計を担った施設が20ヵ所あります。思えば、55年前の大阪万博で建設担当だった当時の若手建築家たちは、その経験を活かして、その後大きく飛躍。今では、誰もが知る「大御所」にもなっておられます。
この経験にならい、今回の万博でも、若い世代の活躍・飛躍のきっかけとすることを目的としたプロジェクトを展開。博覧会協会において、イベント施設、休憩所、トイレといった20ヵ所の施設の設計業務を、今後の活躍が期待される若手建築家から募集し、決定したものです。


かつての生態系を体現し、いのちを取り込む建築
例えば、会場内にある公衆トイレのうち8つは、若手建築家が設計したもの。それぞれ異彩を放つ建物には、若手建設家の多彩なメッセージが込められています。
あるトイレは、スタイリッシュな見た目とは裏腹に、内部には多様な植物を配置。植物や鳥類が棲みつき、独自の生態系を作っていた、かつての夢洲の生態系が表現されています。過去・現在・未来に思いを馳せ、自然と人間の共生のあり方を再考できる場となっています。
別のトイレは、外から持ち込まれた「石」でできています。この石は、四百年近く前の大阪城再建の際に、いったん切り出されたにもかかわらず、大阪城には運ばれなかったという通称「残念石」。数百年の時を刻んだ石を人と同じように「いのち」ある存在として建築に取り込む、唯一無二の空間です。
デザインが語る建築思想を楽しむ

さらには、とてもトイレとは思えない、カラフルでポップな外観の建物も。題して、「Re:METABOLISM」。かつて一世を風靡した建築思想「メタボリズム」を再び万博会場にリバイバルさせるという意欲作です。カラフルなユニットを積み木のように積み重ねる建築は、閉会後の公園や広場への移設も見据えたもの。「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインのテーマを表現しています。
デザイン性ある建築のそれぞれには、次の時代を担う建築家たちの哲学が詰まっています。そうした建物の背後に込められた無形のメッセージを読み取って、お気に入りの建物を見つける。そんなマニアック?な楽しみ方も、万博だからこそできる体験です。
経済産業省 博覧会推進室
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大阪・関西万博会場内の「休憩所」「トイレ」等 20施設の設計を担う若手建築家が決定
若手建築家が設計を担う全20施設のイメージパースを公開~大阪・関西万博を若い世代の活躍、飛躍のきっかけに~