12月の鉱工業生産は、生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇。基調判断は、「一進一退」に据え置き
12月の生産は2か月ぶりの前月比上昇
2024年12月の鉱工業生産は、季節調整済指数102.1、前月比0.3%の上昇となった。
これまでの生産の動向については、2024年9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから、全体として上昇、10月も生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから、全体として上昇となった。11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから、全体として低下となったが、12月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから、全体として2か月ぶりの上昇となった。
全15業種のうち5業種が上昇
12月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち5業種が前月比上昇、9業種が同低下、1業種が同横ばいという結果だった。
生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などで上昇したことから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、化学機械、産業用ロボットなどが主な上昇要因となっている。このほか、次に上昇寄与度が大きかった電子部品・デバイス工業では、モス型IC(メモリ)、固定コンデンサなどが、その次に上昇寄与度が大きかった無機・有機化学工業では、合成ゴム、ポリエチレンなどが主な上昇要因となっている。
一方、低下寄与度が最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、軽乗用車などが主な低下要因となっているほか、次に低下寄与度が大きかった化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)では、乳液・化粧水類、洗顔クリーム類などが主な低下要因となっている。
出荷は2か月ぶりの上昇
12月の鉱工業出荷は、季節調整済指数100.3、前月比0.5%と、2か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち8業種が前月比上昇、7業種が同低下という結果だった。
12月は、生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)などが上昇したことから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、ショベル系掘削機械、建設用クレーンなどが、次に上昇寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用機体部品、舶用ディーゼル機関などが主な上昇要因となっている。
一方、低下寄与度が最も大きかった自動車工業では普通乗用車、普通トラックなどが、次に低下寄与度が大きかった電子部品・デバイス工業では、アクティブ型液晶パネル(中・小型)、電子回路基板などが主な低下要因となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)がショベル系掘削機械、建設用クレーンなどの出荷増により、前月比3.3%と上昇。生産財がリチウムイオン蓄電池、航空機用機体部品などの出荷増により同0.6%と上昇、建設財が橋りょうなどの出荷増により同0.1%と上昇となった。一方、耐久消費財が普通乗用車、セパレート形エアコンなどの出荷減により同マイナス0.7%と低下、非耐久消費財が乳液・化粧水類、灯油などの出荷減により同マイナス1.3%と低下となった。
在庫は2か月連続の低下
12月の鉱工業在庫は、季節調整済指数100.6、前月比マイナス0.7%と、2か月連続の低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、10業種が前月比低下、5業種が同上昇となった。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、二輪自動車(125ml超)などが主な低下要因となっている。一方、上昇寄与度が最も大きかった電気・情報通信機械工業では、リチウムイオン蓄電池、ノート型パソコンなどが主な上昇要因となっている。
在庫率は2か月ぶりの低下
12月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数106.2、前月比マイナス1.6%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、11業種が低下、4業種が上昇となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第4四半期(速)では、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入った。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性があるが、今後の動向に注視していく必要がある。
12月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き
2024年12月の鉱工業生産は、前月比0.3%と上昇した。
これまでの生産は、2024年9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから上昇、10月も生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから上昇となった。11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから低下となったが、12月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから2か月ぶりの上昇となった。
こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、1月、2月ともに上昇を見込んでおり、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の12月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。
なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視していく。