統計は語る

6月のサービス産業活動は「卸売業」「運輸業,郵便業」などが低下。基調判断は「一進一退」に据え置き

6月の第3次産業活動指数は、前月比低下

6月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値101.4、前月比マイナス1.3%と3か月ぶりの低下となった。

これまでのサービス産業活動は、1月は、卸売業などが低下したことなどを受けて、全体として低下していたが、2月は、堅調な財・サービス消費などを受けて、「運輸業,郵便業」や「金融業,保険業」を始めとして多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇していた。その後、3月は、「運輸業,郵便業」を中心に多くの業種が低下したことから、全体として低下し、4月は、「運輸業,郵便業」を中心に多くの業種が上昇したことから、全体として上昇した。

こうした中、5月は、「卸売業」や「金融業,保険業」などの業種が上昇したことから、全体として上昇した※が、6月は「卸売業」や「運輸業,郵便業」などの業種が低下したことから、全体として低下した。

※5月分公表時点では、「運輸業,郵便業」や「生活娯楽関連サービス」などの業種が低下したことから、全体として前月比マイナス0.4%と2か月ぶりの低下となっていたが、前月、前々月、3か月前の過去3か月分の指数値を遡及計算した結果、5月は2か月連続の上昇となった。

業種ごとの動向

6月の業種別の動きをみると、11業種中、7業種が前月比低下、4業種が同上昇となった。

6月は、「卸売業」、「運輸業,郵便業」などの業種が低下したことから、全体として低下した。

「卸売業」は、前月比マイナス4.1%と、3か月ぶりの低下となった。内訳業種では、飲食料品卸売業などが低下に寄与している。また、「運輸業,郵便業」も、前月比マイナス4.8%と3か月ぶりの低下となった。内訳業種では道路貨物運送業などが低下に寄与した。一方で、先月は低下方向に寄与した「生活娯楽関連サービス」が、前月比3.4%と2か月ぶりに上昇した。

『対個人/対事業所サービス』の動向

サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができる。

6月は、対個人サービスが、指数値101.7、前月比マイナス0.5%と低下、対事業所サービスが、指数値101.5、同マイナス1.2%と低下となった。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向

対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算している。

6月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比マイナス5.5%、非製造業依存型事業所向けサービスが同マイナス0.6%となり、ともに低下した。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向

対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢などの影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算している。

6月は、非選択的サービスが前月比マイナス0.6%の低下となり、し好的サービスが同0.8%の上昇となった。

6月時点の基調判断は、「一進一退」に据え置き

6月のサービス産業活動指数は、「卸売業」、「運輸業,郵便業」などの業種が低下したことから、全体として前月比マイナス1.3%と、2か月ぶりの低下となった。

また、2024年1月は前月比マイナス0.8%の低下、2月は同2.1%の上昇、3月は同マイナス2.5%の低下、4月は同2.3%の上昇、5月が同0.6%の上昇、今回の6月がマイナス1.3%の低下となっており、5月は遡及計算により前月比低下から同上昇に修正されたものの、均してみると、引き続き一進一退の状態にあると考えられる。

このため、サービス産業活動指数の6月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。

なお、今後は、物価上昇による取引量への影響などについて、注視していく。

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参考図表集

マンガ「就職にも使える!第3次産業活動指数」