60秒早わかり解説

海外でのパクリ問題、どう対抗する?

相談件数、年間300件以上に


 日本のスポーツメーカーのアシックスが、中国で、まったく関係ない企業によってロゴなどが模倣され、酷似した商標(冒認出願商標)が実際に登録されていることが判明している。

登録商標(左)  冒認出願商標(右)

どう対抗する?

 中国政府によって正式な知的財産となってしまっているこのロゴに対して、アシックスは訴訟などで異議を申し立てている。しかしながら、こうした訴訟には専門的な知見が必要だ。そこで、日本の経済産業省の相談窓口では、模倣品・海賊版への対応や訴訟等の法的な問題について、関係省庁とも連携して、解決のための助言を行っている。

政府間の協議も

 また、相手国の制度自体に不備があるような場合は、一民間企業だけでは解決することができない。企業や業界団体からの申立を受けて、経済産業省が相手国の制度を調査し、直接相手国政府と協議することで、解決の糸口を探している。

マレーシアの海賊版DVD

 これまでにも、マレーシアにおいて正規品のDVDに貼られるはずのホログラムシールが、海賊版にも貼られていることがあった。経済産業省が、マレーシア政府当局に対して申し入れたところ、審査体制が改善され、ホログラムシールの許可情報をインターネット上で確認できるようになった。

相談件数は年300件超

 日本企業による海外展開が進むにつれて、商標などの知的財産の侵害事例も増えている。特に、最近では、インターネット取引に関連するものの割合が多いのが特徴だ。経済産業省の窓口には、ここ数年、300件を超える相談が寄せられ、また、それを上回る情報提供も寄せられている。企業としても、理不尽な権利侵害に泣き寝入りせず、ルールに基づいて適切な解決につなげることが重要だ。

【関連情報】

模倣品・海賊版対策の相談業務に関する年次報告(2017年版)をとりまとめました