6月の鉱工業生産は工場稼働停止などの影響で2か月ぶりの低下。基調判断は「一進一退ながら弱含み」に据え置き
6月生産は2か月ぶりの前月比低下
2024年6月の鉱工業生産は、季節調整済指数100.6、前月比マイナス3.6%となった。
これまでの生産の動向については、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことから、全体として2か月連続で低下していたが、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇していた。
その後、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、化学工業(除.無機・有機化学工業)や輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことなどから、全体として低下していた。
こうした中、5月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇したが、6月は工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことなどから、全体として、2か月ぶりに低下した。
全15業種が前月比低下
6月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種が前月比低下という結果だった。
6月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことなどから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品などが主な低下要因となっている。これらについては、工場稼働停止などの影響を受けて、低下したものと考えられる。
出荷は2か月ぶりの低下
6月の鉱工業出荷は、季節調整済指数99.4、前月比マイナス4.3%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種が低下という結果だった。
6月は、生産用機械工業などが低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やショベル系掘削機械などが主な低下要因となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が、自動車工業の工場稼働停止の影響で駆動伝導・操縦装置部品やシャシー・車体部品などの出荷が減少したことから、前月比マイナス3.6%と低下。資本財(除.輸送機械)が半導体製造装置などの出荷減少により、同マイナス10.5%と低下。耐久消費財が自動車工業の工場稼働停止の影響で普通乗用車や小型乗用車の出荷が減少したことから同マイナス6.0%と低下。そのほか、非耐久消費財が同マイナス1.7%、建設財が同マイナス4.5%とそれぞれ低下した。
在庫は2か月ぶりの低下
6月の鉱工業在庫は、季節調整済指数102.7、前月比マイナス0.6%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、9業種が低下、5業種が上昇、1業種が横ばいとなった。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラックなどが主な低下要因となっている。
在庫率は3か月ぶりの上昇
6月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数107.3、前月比2.1%と、3か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち、12業種が上昇、3業種が低下となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第2四半期(速)では、「意図せざる在庫減局面」まであと少しというところまで来たが、引き続き「在庫調整局面」にとどまっている。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組んできたと考えられるが、その効果が顕在化されてきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要がある。
6月の生産の基調判断は、「一進一退ながら弱含み」に据え置き
2024年6月の鉱工業生産は、前月比マイナス3.6%と低下した。
これまでの生産は、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことから、全体として2か月連続で低下していたが、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇していた。
その後、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、化学工業(除.無機・有機化学工業)や輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことなどから、全体として低下していた。
こうした中、5月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇したが、6月は工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことなどから、全体として、2か月ぶりに低下した。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、7月、8月ともに上昇を見込んでいるが、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続する中で弱含みの状態にあると考えられる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の6月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に据え置く。
なお、今後は、世界経済の動向や自動車工業における工場稼働停止の影響などについて、注視していく。