統計は語る

5月の鉱工業生産は「自動車工業など」の上昇で2か月ぶりに上昇。基調判断は「一進一退ながら弱含み」に据え置き

5月生産は2か月ぶりの前月比上昇

2024年5月の鉱工業生産は、季節調整済指数103.6、前月比2.8%となった。

これまでの生産の動向については、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことから、全体として2か月連続で低下したが、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇していた。

その後、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、化学工業(除.無機・有機化学工業)や輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことなどから、全体として低下していた。

こうした中、5月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として、2か月ぶりに上昇した。

13業種が前月比上昇、2業種が同低下

5月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、13業種が上昇、2業種が低下という結果だった。

5月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇した。

上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品などが主な上昇要因となっている。これらについては、工場稼働再開などの影響を受けて、上昇したものと考えられる。

出荷は2か月ぶりの上昇

5月の鉱工業出荷は、季節調整済指数103.5、前月比3.5%と、2か月ぶりの上昇となった。

業種別にみると、全体15業種のうち、11業種が上昇、4業種が低下という結果だった。

5月は、工場稼働再開(出荷再開)などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことから、全体として上昇した。

上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品などが主な上昇要因となっている。これらについては、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられる。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、建設財が前月比マイナス1.4%と低下した一方で、生産財が同4.1%、耐久消費財が同11.1%、非耐久消費財が同2.3%、資本財(除.輸送機械)が同0.9%と上昇した。

在庫は2か月ぶりの上昇

5月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.5、前月比1.1%と、2か月ぶりの上昇となった。

業種別にみると、全15業種のうち、4業種が上昇、10業種が低下、1業種が横ばいとなった。

上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラックなどが主な上昇要因となっている。

在庫率は2か月連続の低下

5月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数105.4、前月比マイナス0.9%と、2か月連続の低下となった。

業種別にみると、全15業種のうち、10業種が低下、4業種が上昇、1業種が横ばいとなった。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第2四半期(速)まで継続している。

これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられるが、その効果が顕在化されてきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要がある。

5月の生産の基調判断は、「一進一退ながら弱含み」に据え置き

2024年5月の鉱工業生産は、前月比2.8%と上昇した。

これまでの生産は、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことから、全体として2か月連続で低下していたが、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇していた。

その後、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、化学工業(除.無機・有機化学工業)や輸送機械工業(除.自動車工業)などが低下したことなどから、全体として低下していた。

こうした中、5月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業などが上昇したことなどから、全体として上昇した。

また、先行きに関しては、企業の生産計画では、6月は低下、7月は上昇を見込んでおり、ならしてみると一進一退の傾向は継続する中で弱含みの状態にあると考えられる。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の5月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に据え置く。

なお、今後は、世界経済の動向や自動車工業における工場稼働再開の状況などについて、注視していく。

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参考図表集

マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」