統計は語る

9月も低空飛行の建設業活動指数

非住宅建築の2カ月連続大幅マイナスは東日本大震災以降初

 
 2018年9月の建設業活動は、前月比マイナス0.4%と2か月ぶりの低下で、指数値は112.4となった。

指数値3カ月連続で低水準

 建設業活動指数は、昨年春を活動のピークとし、以降は低落傾向ながらも高い活動水準で推移していた。しかし、今年6月に急降下、以降7月、8月と112台の水準での動きと低迷。今月9月も前月比低下、指数値も昨年第1四半期以来の低い水準域での動きが継続しており、昨年のピークの頃と比較して、低空飛行が続いている。

 後方3か月移動平均値でトレンドをみると、ここ3か月の動きは弱く、下降ペースも緩やかとはいえない様相で、弱含み傾向にあることが確認できる。
 2018年第3四半期の建設業活動指数は、前期比マイナス2.3%と2期ぶりの低下で、指数値は112.6となった。なお、前期比マイナス2%以上の低下は、2014年第2四半期(消費税率改正期)以来のことである。

順調だった民間非住宅建築が不調

 9月の建設業活動を内訳5事業の動きでみると、民間の住宅建築、非住宅建築とも前月比連続低下と先月に続き不調、公共建築活動も前月比低下と、建築活動全般にわたり低調だった。
 他方、先月に大幅上昇した民間土木工事は前月比横ばい、公共土木工事は2か月連続の前月比上昇と伸び幅は小さいものの良い動きをみせた。
 よって、9月の建設業活動全体の低下は、土木活動ではなく、建築活動の低調な動きによるもの、ということになる。

 民間発注工事では、住宅建築は前月比マイナス0.2%と3か月連続の低下だった。昨年後半から弱含み傾向で推移しており、指数値は2016年第2四半期頃の低い水準域での動きが続いている。
 非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス1.9%の大幅低下だった。先月、今月と2か月連続で前月比マイナス1.5%を超える大幅な連続低下で、これは東日本大震災のあった2011年3月以降では初めてのこととなる。7月の指数値は140台となる今基準内(2008年1月~)最高値だったので、この2か月で5ポイント近く指数水準は下降した。今年に入ってからの動きは、昨年までの強い上昇傾向からはペースダウンしており、ここ2か月間の動きは「不調」と言わざるをえない。
 民間・土木は前月比横ばいだった。昨年4月以降、東日本大震災後では初めてとなる複数月連続しての指数値100超えが続くなか、今年7月にはこの期間内で最も低い水準にまで下がった。このような低水準での動きの下、今後の動きが懸念されたが、8月の大幅上昇で今年3度目の110越えの水準に達し、今月もそこからの横ばいと、いくぶん持ち直している。
 公共工事では、公共・建築(庁舎、学校、病院など)は前月比マイナス2.3%と、今年第1四半期をピークに低下傾向にある。公共・土木は前月比0.2%と微増ではあるものの、2か月連続の上昇だった。建築と土木で動きの方向は異なったが、公共工事全体としては、2か月連続の前月比マイナスであるので動きは弱いものとなっている。
 2018年第3四半期では、民間発注工事が前期比マイナス0.8%と2期連続の低下、公共工事が前期比マイナス3.5%と2期ぶりの低下だった。四半期ベースでの動きは、双方とも低下となってしまった。

弱含み傾向が続いている

 2018年9月の建設業活動は、前月比低下となり、指数値も昨年第1四半期以来の低位での推移が続いている。今年第3四半期も前期比低下で、最近としては最も大きな低下幅だった。
 内訳事業では、民間住宅建築の動きの弱さは継続しており、公共工事も従来から動きには不安定さがあるとはいえ動きは弱いものだった。
 また、民間投資関連工事は、高い水準での推移ではあるものの、ここにきてこれまでみられなかった弱さもみえてきた。特に、民間非住宅建築活動のここ2か月の動きは不調で、来月以降の動きが懸念される。
 総じてみれば、今月も内訳の各事業には、復調の動きはみられなかった。よって、今月9月時点の建設業活動全体の基調は、引き続き弱含み傾向にある。

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