M
O
R
E
統計は語る
統計は語る
製造工業の生産計画は２、３月は前月比上昇の見込みだが、１月の低下を取り戻すほどではない。引き続き、輸送機械工業における工場稼働停止の影響などを注視
経済解析室では、毎月初旬に、主要製品の生産計画を調べている。調査対象製品を製造する企業のうち、主要企業を対象に、その月と翌月の生産計画を調査している。
今回は、２月初旬に調査した２月と３月の生産計画の状況と、２月初旬での企業の生産マインドについて解説する。
２月、３月の生産はともに上昇の計画
２月初旬に実施した、２月と３月における企業の生産予測調査の結果である。
２月の生産計画では、前月比4.8％の上昇を見込んでいる。この計画どおりに生産されれば、２月の鉱工業生産の実績は、２か月ぶりの上昇が見込まれる。
ただし、生産計画は、生産実績よりも上振れする傾向がある。そこで、２月の生産計画について、生産実績との間で生じるズレを統計的に補正すると、２月の生産実績の見通しは、前月比0.8％の上昇見込みとなる。
なお、３月の生産計画については、２月の計画から2.0％の上昇見込みである。
２月と３月の２か月を通じた生産計画
２月と３月の２か月の生産計画による業種ごとの生産予測の伸び率を通してみると、以下の図のようになる。
２月の生産計画では、全体11業種のうち、10業種が前月比上昇、１業種が前月比低下、３月の生産計画では、５業種が前月比上昇、６業種が前月比低下の計画となっている。製造工業全体の生産は、２月、３月を通して上昇する見込みである。
２月の生産計画は、輸送機械工業が、乗用車の増産を見込むなど、全体としては上昇の見込みである。
なお、海外景気の下振れなどに加え、輸送機械工業における工場稼働停止の影響や、能登半島地震の影響により、生産計画は下方修正されるリスクもあり、先行きについては注視が必要だ。
３月の生産計画は、生産用機械工業が、受注増により半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置の生産上昇を見込むことなどから、全体としては上昇する見通しだ。
２月の生産計画の強気と弱気
次に企業の生産マインドについてみていく。
企業の生産マインドは、１月当初に調べた２月の生産計画が、２月当初に再度調べ直した計画と比べ、どの程度変動したか（予測修正率）をみることで確認することができる。
２月の生産計画における予測修正率はマイナス2.5％となっており、35か月連続で下方修正となっており、２か月連続で低下幅が拡大している。
この背景には、輸送機械工業における工場稼働停止の影響や、能登半島地震の影響などが考えられる。
生産計画を上方修正した企業数の割合から、下方修正した企業数の割合を引いた数値をみることで、企業の生産マインドを推し量ることができる。
この数値の推移と、これまでの景気循環を重ねると、月々の上下動をならしたトレンドが、概ねマイナス５を下回ると景気後退局面入りの可能性が高いという傾向がみられる。
２月の生産計画では、この数値の単月の値はマイナス4.6、月々の上下動をならしたトレンドはマイナス0.9と、単月とトレンドのいずれもマイナス５を上回り、改善傾向が続いている。
生産計画からみる今後の見通し
生産計画は、２月、３月ともに前月比上昇を見込むものの、１月の低下を取り戻すほどには至っていない。予測修正率などからみる企業の生産マインドは、足下では悪化しているが、トレンドとしては改善傾向にある。
なお、引き続き、海外景気の下振れなどの影響に加え、輸送機械工業における工場稼働停止の影響や、能登半島地震の影響について注視する必要がある。
