統計は語る

12月の鉱工業生産は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇。基調判断は、「一進一退」に据え置き

12月生産は2か月ぶりの前月比上昇

2023年12月の鉱工業生産は、季節調整済指数105.9、前月比1.8%となった。

これまでの生産の動向については、9月は、堅調な自動車工業の影響により上昇し、10月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)の影響により上昇していたが、11月は、自動車工業や電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業が低下したことなどから、全体として低下していた。

こうした中、12月は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として2か月ぶりの上昇となった。

12業種が前月比上昇、3業種が同低下

12月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が上昇、3業種が低下という結果だった。

12月は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇した。


上昇寄与度の最も大きかった汎用・業務用機械工業は、コンベヤや試験機が主な上昇要因となっている。コンベヤについては、工場や物流施設からの受注増加などを受けて、試験機については、大規模な受注があったことなどから、上昇したものと考えられる。

出荷は2か月ぶりの上昇

12月の鉱工業出荷は、季節調整済指数105.2、前月比2.5%と、2か月ぶりの上昇となった。

業種別にみると、全体15業種のうち、14業種が上昇、1業種が低下となった。

12月は、輸送機械工業(除.自動車工業)や自動車工業の多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇した。

上昇寄与度の最も大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)は、鋼船や航空機用機体部品が主な上昇要因となっている。航空機用機体部品については、緩やかな回復基調にあることなどから、上昇したものと考えられる。

また、次に上昇寄与度の大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラックが主な上昇要因となっている。これらについては、輸出向けを中心に堅調な販売が継続していることなどから、上昇したものと考えられる。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、非耐久消費財が前月比マイナス0.4%と低下する一方で、資本財(除.輸送機械)が同10.3%、生産財が同0.6%、建設財が同3.0%、耐久消費財が同1.0%と上昇した。



在庫は3か月ぶりの低下

12月の鉱工業在庫は、季節調整済指数102.9、前月比マイナス1.2%と、3か月ぶりの低下となった。

業種別にみると、15業種のうち、9業種が低下、5業種が上昇、1業種が横ばいとなった。

低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラックが主な低下要因となっている。


在庫率は2か月ぶりの低下

12月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数102.1、前月比マイナス2.9%と、2か月ぶりの低下となった。

業種別にみると、全15業種が低下となった。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2023年第4四半期(速)まで継続している。これまでも、一部の業種において、在庫の削減に取り組まれてきたと考えられるが、その動きが強くなってきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要がある。

12月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き

12月の鉱工業生産は、前月比1.8%の上昇となった。

これまでの生産は、9月は、堅調な自動車工業の影響により上昇し、10月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)の影響により上昇していたが、11月は、自動車工業や電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業が低下したことなどから、全体として低下していた。

こうした中、12月は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として2か月ぶりの上昇となった。

また、先行きに関しては、企業の生産計画では、1月は低下、2月は上昇を見込んでおり、引き続き一進一退の状況にあると考えられる。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の12月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。

なお、今後は、世界経済の影響や自動車工業における工場稼働停止の影響などについて、注視していく。

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参考図表集
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」