METI解体新書

経済産業省の採用活動のウラ側教えます(後編)

 

【大臣官房 秘書課】
高橋 拓磨(左):新卒(技術系)採用担当  長山 美由貴(中央):キャリア(中途)採用担当  末政 憲司(右):新卒(事務系)採用担当

【大臣官房秘書課】採用担当に聞く、採用活動のウラ側とは。経済産業省という複雑な組織を「解体」して、個々の部署が実施している政策について、現場の中堅・若手職員が説明する「METI解体新書」。経済産業省で職員の採用を担当する秘書課のメンバーに話を聞きました。(前編はこちら)

「採用活動」ではなく「人生の選択のサポート」

――― 今のポストに着任して、採用担当の印象は変わりましたか。

高橋:思っていたより体力勝負ですね。学生も自分の人生の岐路に直面するなかで、真剣勝負です。学生と向き合う時間が長いのですが、常に自分の100%を出し続けて、相手に100%、120%向き合う。

話をする時は、価値観の押しつけにならないように、言語化・表面化していない学生の皆さんの想いを伺いながら、自分の経験・考え・やりがいを伝え、学生にとって納得感が高い選択ができるよう、コミュニケーションを重ねていきます。学生も人生の選択をしているので、それに真摯に対応しないといけない。

人生の選択に真摯に対応しないといけないと語る高橋さん

長山:自分の話で相手の人生が変わるかもしれないという重みがありますね。経済産業省に入ったら正解かというと、そうでない方もいる。その人の思いや、やりたいことを引き出して、経済産業省がそれにあうか、別の道もある中でどうして経済産業省なのか、といったことを聞くようにしています。

高橋:あと、実態として採用戦線の厳しさを痛感するときもあります。経済産業省を知ってもらうイベントに向け、自分たちで説明内容を考えて、準備して、いざ本番。「どうも~っ」って登場するけど参加されている学生の人数はとっても少ない…人気が出る前の芸人さんと、きっと気持ちを共有できることが多いのではと思ったりします(笑)。

末政:他省庁はともかく、民間企業との合同説明会だと、当然、経済産業省に興味がない学生もいて、アウェーなこともありますね(笑)。でもそうした場に飛び出していくことが、国家公務員の無関心層の発掘にもつながります。総合商社など意識的にコラボイベントをさせていただいていたりします。

――― 苦労も多いのでは。

末政:時間的な制約がある中で、一人ひとりに寄り添う時間が増えていることは採用活動の課題ではあります。悩むポイントが全く違うので、個別対応にならざるを得ません。迷っているのは民間企業か、他省庁か、大学院や海外なのか。価値観を押しつけることなく、学生の決断の満足度を極限まで高めるのが僕らの仕事だと考えています。最後、経済産業省じゃないところを選んだとしても、経済産業省のことを知ってもらった上で、満足度の高い選択をしてもらえたらと思っています。

職員のリフレクションの機会にも

――― 就職を希望する方の関心や専門も多様化しています。

末政:採用活動は、私たち秘書課のメンバーだけでやっているのではありません。まさに経済産業省の総力戦です。採用イベントでは日々、現場の若手職員や様々な経験を積んだ先輩方が登壇し、話をします。海外に留学中の職員ともオンラインでつないで、世界から見た日本について話をしてもらうこともあります。

高橋:“リフレクション”という言葉がありますが、自分の仕事や、何にやりがいを感じているかなど、職員自身が振り返って第三者に伝える、という経験をすることで、改めて気づきが生まれるという側面もあります。採用活動への参画を通じて、職員側のエンゲージメントやモチベーションの向上に繋がることから、採用力を高めることが、組織力向上にもなるようにしたいです。

長山:キャリア(中途)採用でも、経験者にも説明してもらいます。IT、技術、エネルギー、国際など、それぞれの専門分野でどういったことが必要か、ということがクリアになっていきます。

対話を通じて思いを引き出す。人生で何をしたいか、探求を共に

――― どんな人に経済産業省に来てほしいですか。

末政::何か、変えたい「原風景」をもっている人。コメンテーターとして批評するだけで終わらずに、自分ならこういう風に変える、というものを持っていて、こういうチャレンジがしたい、とアプローチ方法まで考えている人ですね。自分で仕事を創る人は向いていると思います。

高橋:「本質の追究」を大事にしています。国内外の情勢、世の中が変わっていく中で、何が課題なのか、何が大事かを俯瞰的に考えられ、その本質を見極め、追い求められる人です。正解がない中で、自分なりに設定した目標達成に向け、追求できるというのは、大事なことだと思います。

――― なかなか、そこまでしっかり考えている人は限られているのでは。

末政:そうですね、対話を通じて、学生の皆さんの想いを引き出していきます。心の中にあるくすぶった考えに気付いてもらうことが大事です。本当に人生でやりたいことは何だろう?と問いかけていくと、これは政府や経済産業省でできることだ、という人が一定数いると思います。そうでない人ももちろんいますが、自分の想いを知らない中で決断するより、知った上で決断してほしい。

高橋:僕らの仕事は、自分が人生で何をしたいか、という探求を共にさせてもらうことだと思っています。その上で、経済産業省で何ができるか、何を得たいか、職員から話を聞いて形作っていく。「経済産業省に入る」ではなく「なりたい自分になる」ことをお手伝いしている感覚です。一度きりの人生の中で、仕事をするなら何を選び、何を体現したいのか。その先に経済産業省があったら嬉しいです。

経済産業省の新卒採用ページには、採用担当者からのメッセージが掲載されている

長山:キャリア採用は、これまでのキャリアから次のステップに移るということで、「人生一度きりだから、人生を賭けて取り組みたい」という思いがより具体的です。その思いが、経済産業省と合うか合わないかを丁寧にすり合わせ、社会課題のために経済産業省で頑張りたいという方をお迎えしたいと考えています。そういった方が活躍することで、経済産業省が多様化して強くなり、より良い政策が生まれます。

企業で、金融の法人営業だけしていたけど大丈夫ですか?という人や、研究室でこの研究だけやってきたけど大丈夫ですか?という人もいますが、大丈夫ですとお伝えしたいです。課題把握、探求、アクションというのは共通して使えるスキルセットです。

キャリア採用ページはデザインを一新。キャリア採用で入省した職員の「思い」も掲載

自分たちも楽しく。やりたいこともあきらめない

――― チーム内の雰囲気が良いですね。

末政:メンバーの仲が良いんですよ。採用活動をしていても、学生の皆さんから「楽しそう」と言われることも多いです。僕らがちょっとわちゃわちゃしてると、そういう雰囲気がいいと言ってくれます。風通しの良さが、他の組織とは全然ちがうと言われます。

髙橋:自分たちも楽しんでやっているので、その雰囲気が伝わるのかなと思います。

――― プライベートとの両立はできていますか。

長山:経験者採用はオンラインでの対応も多く、テレワークはしやすいです。8歳・2歳・1歳の3人の子どもがいるので、家庭との両立が図りやすい形でやっています。突然の子供の病気リレーなど大変な時ももちろんありますが、周囲も暖かく支えてくれますし、責任あるポストで経済産業省を支える一翼を担っているというやりがいを感じています。

高橋:採用活動をしていると、家庭やプライベートとの両立に関心が高いことがよくわかります。大変な時もあること、残業時間がどれくらいということは正直に説明していますが、忙しいときのイメージは「文化祭の前日みたいな日が続く」という感じです。成果が見えることに向けて、みんなで頑張っている。「霞ヶ関はブラックだ」ということが、大げさに伝わっている部分もあるのかなと感じます。僕らの同期・上司も子育て世代が多く、お子さんの送り迎えがスケジュールに入っていたりもします。組織としても、そういったことを前提にして仕事を進めている、と説明すると、安心する人も多いですね。

長山:そういった点は十分に伝えられてないなと思います。リブランディングしていかないといけないですね。

高橋:僕は採用の仕事の他に、前職で取り組んでいた「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」にも関わっています。自身で立ち上げた福島復興と映画・芸術の仕事を続けたいという思いがあり、その希望を伝えて実現しました。若手有志たちと、福島を映画で盛り上げようというプロジェクトです。東京国際映画際で福島での映画づくりをテーマとしたトークイベントのファシリテートをして、山田洋次監督や犬童一心監督とも交流ができました。仕事を通じて交友関係も広がるし、有志が自発的に動いているのも経済産業省ならではだと思います。

それもあって、最近はいろんな映画を見るようになりましたね。映画を観ることを通じて、2時間半、強制的に自分のスイッチをオフにできます。映画の良いところは、目の前の日々や仕事と全然違うことに向き合い、全然違う問いをぶつけてもらえること、自分が気づけていない価値を見いだすことができること。リフレッシュにつながっています。

高橋さんがファシリテートした東京国際映画祭のトークイベント「福島浜通りの今と未来」。左端が山田洋次監督、隣が犬童一心監督

秘書課 採用担当 左から長山 美由貴さん、水越 貴紀さん、末政 憲司さん、長谷川 麗佳さん、高橋 拓磨さん

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