METI解体新書

経済産業省の採用活動のウラ側教えます(前編)

 

【大臣官房 秘書課】
高橋 拓磨(左):新卒(技術系)採用担当  長山 美由貴(中央):キャリア(中途)採用担当  末政 憲司(右):新卒(事務系)採用担当

【大臣官房秘書課】採用担当に聞く、採用活動のウラ側とは。経済産業省という複雑な組織を「解体」して、個々の部署が実施している政策について、現場の中堅・若手職員が説明する「METI解体新書」。今回は、経済産業省で職員の採用を担当する秘書課のメンバーに話を聞きました。

経済産業省で得られることは何か。”ファーストキャリア”として選ぶ新卒採用

――― 秘書課のお仕事とは。

末政:秘書課は、職員の配属や、人材育成、働き方改革など「人事」に関する仕事をする部署です。私たちは採用担当として、次代の経済産業政策を担う人材を採用することがミッション。新卒採用だけでなく、キャリア(中途)採用も拡大しています。

――― 経済産業省の新卒採用活動は、どんな風に進みますか。

末政:学生に向けた経済産業省の採用活動は、8月の“1week METI Summer School”から大きく動き出します。インターンシップのようなもので、実際に1週間、経済産業省またはオンラインで、政策を立案する体験をしていただきます。

高橋:大学、大学院、高等専門学校などに所属している方が対象で、特別な知識や技術は必要ありません。学年や、理系・文系に関わらずどなたでも大歓迎のイベントです。海外大学の日本人学生、大学院生の皆さんも多く参加しています。今年は約300名ほどの学生が来てくれました。

末政:政策立案を実際に経験してもらうことで、多くの方に国家公務員の仕事や政策立案に関心を持っていただくとともに、民間企業の仕事との違いに対する理解を深めていただくことが目的です。その後、9月以降には、半導体政策、通商政策、GX政策、スタートアップ政策、地域経済政策など政策テーマ別の説明会を開催し、参加者の関心をより具体化していきます。

1月以降にイベントに参加する学生は、すでに国家公務員の仕事に対する解像度が上がってきており、公務員試験に合格していたり、今後受験することを決意されている方が多いため、様々な中央省庁の中で経済産業省とはどのような存在か、経済産業省の政策やカルチャーに対する理解を深めていただくように、採用イベントの内容や説明を考えていきます。

4月~6月の官庁訪問直前期には、学生が自信を持って進路の選択ができるよう、一人ひとりの悩みや関心を丁寧に聞いていきます。

一人ひとりの悩みや関心を丁寧に聞きたいと語る末政さん

――― 時期に応じて、イベントの目的を変えているのですね。学生の理解も深まりそうです。

長山:ひと昔前より、学生のキャリアに関する意識は高まっていますよね。

末政:それはすごく感じますね。就職活動のトレンドとして、早期化と長期化が進んでいます。民間企業では大学3年の5月に内定が出ることもある。国家公務員の場合は、大学3年の8月から「翌年の公務員試験を受けて、官庁訪問に来てね」と採用活動を行うのが基本パスなので、いわば周回遅れです。そのような中で、マクロで見ると、学生は「ファーストキャリア」はどこがいいか、という選び方をする傾向が強くなってきています。経済産業省で働くことで、どんなスキルや経験、ネットワークが身につくのかは、とても問われるところだと感じています。

――― 経済産業省で働く魅力はどのように説明しているのでしょうか。

末政:経済産業省では、数年ごとに様々なポスト・政策分野を担当していきます。こうしたポストで得られるスキル、経験、ネットワークが、複数のポストでたすき掛けされていくことで、唯一無二の人材になっていくことは大きな魅力だと感じています。また、経済産業省は、手を挙げて能動的に動く若者に自由と賞賛を贈る文化や、無いものは創ればいいと当たり前に考える価値観、挑戦する若手職員を応援しながら自らも挑戦者であろうとする先輩職員がたくさんいて、成長機会が豊富なところが良い点です。ただ、どういった点に魅力を感じるか、どんな話が心に響くのかは一人ひとり違うので、1対1で個別にお話をすることも多いです。

入省後のサポートは万全!拡大するキャリア(中途)採用

――― キャリア(中途)採用はいかがでしょうか。

長山:新卒採用と比べて、短期決戦です。省独自の「選考採用」はペーパーテストがなく書類審査と面接でプロセスが進みます。今年度は選考頻度を年4回に増やし、通年で受付けています。経済産業省は民間企業と距離が近いこともあり、キャリア採用の歴史は長くて、20年ほど前から実施しています。拡大しているのはここ5年くらい。応募もたくさんいただいて、関心が増えていることを感じています。採用人数も増えています。HPを見やすくしたり、最近は転職イベントにも出るようになりました。

末政:他省庁の採用担当の方々が、経済産業省に知見を聞きにくるくらい、キャリア採用に力を入れています。

――― キャリア採用を希望する方は経済産業省のどんなところに魅力に感じているのでしょう。

長山:学生の時には気がつかなかったこと、例えば、国の制度や支援の必要性などに、社会に出てからの経験で気がついて、自分も携わりたい、チャレンジしてみたいという方が多い印象です。

キャリア採用の広報強化、研修拡充、ネットワーク作りに力を入れていると語る長山さん

――― 省内でもキャリア採用で活躍する職員が増えていることを感じます。

長山:経済産業省は、もともと民間企業や地方自治体などからの出向者も多く、様々なバックグラウンドを持つ方と一緒に仕事をする風土があります。キャリア採用のコミュニティも盛り上がっていて、ランチ会や飲み会なども開催されています。キャリア採用の方は、入ってすぐ活躍が期待されるため、不安も多いと思いますが、気負いすぎず、うまい具合で調整してやってもらうために、横のつながりを構築するお手伝いや、立ち上がりを支援する研修に力を入れています。

――― 入省後のサポートもあるのですね。

長山:はい。経済産業省での仕事をスムーズにスタートできるように、「オンボーディングキット」と呼ばれる業務の基礎資料集や、着任後5日間のオンボーディング研修プログラムもあり、仕事をする上で知っておきたい情報がまとまっています。キャリア採用の方だけでなく、新卒採用や、民間企業や地方自治体からの出向の方など、新たに経済産業省の仲間に加わった皆さんに役立つ内容です。

また、最初は誰に何を聞けばよいか分からないこともあるので、メンターによるサポートや、入省前後に面談をしたり、困ったことがあれば何でも相談してください、とお伝えしています。少しでも不安が取り除ければと思っています。

省内で開催したキャリア採用者の交流会の様子

海外での採用活動、インスタアカウント開設。経済産業省採用活動史上初の新しい試みが続々始まる

長山:このあいだ、ちょうど国際デビューして。

末政:ボストンキャリアフォーラムに、経済産業省として初めて正式に出展しました。

――― どんな経緯で実現したのですか。

末政:今、高校卒業後に海外の大学にそのまま進学する学生が急速に増えています。海外に行った学生は、外から日本を見る機会を持つことで日本に貢献したいという気持ちが高まって、公務に対する意識が高い人が多い。それ以外にも、交換留学であったり、短期留学であったり、大学院進学であったり、様々な形で海外に飛び出す学生は増えています。

ボストンキャリアフォーラムは、毎年11月頃にボストンで開催される、世界最大規模の就活イベントです。日英バイリンガルの日本人向けに、日本企業と海外企業が200社近く参加しています。省庁ではこれまで外務省が参加していましたが、今年度から経済産業省と農林水産省が初めて正式にブース出展したんです。

ボストンキャリアフォーラムの経済産業省ブース

高橋:経済産業省の採用活動として初めての試みだったので、色々言われるかな?と思って課内で相談したら、二つ返事で「いいじゃん、行こう」と。経済産業省の良いところは、初めてのこともすぐチャレンジさせてもらえるカルチャーですね。初出展、経済産業省への関心も見えづらいなかで、現地では、人が集まるか不安でしたが、通りがけの学生も「経済産業省だ…」という反応で認知はある。仕事の中身が見えないので、「どうぞどうぞ!」とプッシュ型で一生懸命声をかけてブースに来てもらい、そこから1人増え、2人増え、最終的には3日間で120人ほどの学生と会い、経済産業省の仕事の意義・内容を知ってもらうことができました。

――― 初の出展で200社の中から注目を集めるのは大変だったのでは。どんな工夫をしたのですか。

末政:ボストンキャリアフォームは、その場で最終面接まで行い、日本に帰らなくても内定が出るということで人気が高い。でも、国家公務員は、公務員試験を受ける必要があるので、その場で内定が出せません。始めからビハインドがある中でどう興味を持ってもらうのかがポイントでした。

高橋:採用活動でこだわっているのは、自分たちも聞きたい・知りたい、ワクワクする・奮い立つことを学生にも伝えられるよう内容を考えるということ。ワシントン、ニューヨーク、パリで働いている、まさに今第一線で活躍する先輩たちに話を持ちかけ、スペシャルセミナーと銘打って、ボストンキャリアフォーラムで話をしてもらいました。自分たちも話を聞きたいと思う先輩なら、学生の皆さんもきっとワクワクするし魅力を感じてもらえると思っています。

――― 大事な視点ですね。

末政:最近の学生は「タイムパフォーマンス(タイパ)」を気にすることも多い。経済産業省の話を一時間聞いて、何を気付きや学びとして持って帰ってもらうのかは常に意識しています。かつては、「経済産業省」というだけで希望者が集まる時もあったと聞いていますが、今は違います。令和の採用活動として、MBA留学中に勉強したマーケティングの知見も生かして、より戦略的に、プル型からプッシュ型へ、そして、時間の投資倍率をなるべく高められるよう心がけています。

ボストンキャリアフォーラムの様子。自分たちもワクワクすることを伝えたい

――― インスタグラムも始めましたね。

末政:2023年秋に新卒採用公式アカウントを立ち上げました。ジョブマーケットも変わってきて、より身近なインターフェースとして、インスタから就活の情報をとっている学生も比較的多いと思います。インスタで定期的に情報が流れてくると頭に残るという効果も期待できます。現在、絶賛フォロワー募集中です!

経済産業省 新卒採用公式アカウント/meti recruitはこちら

新しく立ち上げたInstagramの新卒採用公式アカウント

高橋:末政さんは勧誘がうまいんですよ。イベント終了後に「今日のイベントで興味を持っていただいたり、満足いただいたらフォローしてね」と言ってフォロワーを増やしています(笑)。

末政:民間企業のアタリマエを、当たり前に導入しようということを意識的にやっています。今はまだ言えませんが、近いうちに導入しようと計画している新たなプロジェクトもありますよ。まもなく発表できると思いますので、楽しみにしていてください。

(後編に続く)

【関連情報】
新卒採用情報 (METI/経済産業省)
キャリア採用情報 (METI/経済産業省)
Instagram 経済産業省 新卒採用公式アカウント/meti recruit