デジタル技術を活用し、アジアで社会課題を解決する「アジアDX企業」をご紹介!
1000社以上が導入。マレーシアで生鮮食品の産直ECを手がける「SECAI MARCHE」
経済産業省では、国内大企業・スタートアップ企業が、アジアの企業などと連携し、デジタル技術を活用して社会課題を解決するための新産業創造「アジアDX」を推進しています。世界で活躍する「アジアDX企業」を複数回に分け、不定期に紹介していきます!
東京都に本社を置くSECAI MARCHE(セカイマルシェ)は、2019年に生産者と消費者をダイレクトにつなぐB2Bの産直ECをマレーシアで展開しました。ユーザーのうち、消費者側にあたる飲食店やホテルなどは創業1年で150社以上に達し、現在では1,000社超、また、生産者側も350社超に上っています。
インターネット利用者のうちEC利用者の割合は世界平均を上回るとも言われる東南アジア。競合ひしめくはずの巨大EC市場で頭角を現すSECAI MARCHEの産直EC事業をご紹介します。
必要なものを必要なだけ。「小ロット多品種フルフィルメントサービス」
マレーシアでは、生鮮食品を冷蔵で運ぶための設備が不足し、生鮮食品のEC化が進んでいません。SECAI MARCHEは冷蔵物流機能を持たない多くの生産者に、温度帯が最適に制御された「小ロット多品種フルフィルメントサービス」を提供しています。
小ロット多品種とは、その都度消費者のニーズに対応した商品のバリエーションを用意し、製造や出荷を少量で行うこと。フルフィルメントサービスとは、ECにおける受注から配送までの一連の業務プロセスを意味します。SECAI MARCHEは共同配送網として複数の生産者とつながり、各生産者から異なる農産物を消費者のニーズに合った必要量だけ購入したうえで、消費者へ配送する体制を構築しています。
コスト削減が生むのは価格競争力以上の付加価値
SECAI MARCHEのフルフィルメントサービスは、配送網同士の重複コスト、中間流通のコストに加え、生鮮食品の廃棄率の低減にもつながっています。マレーシアでは生鮮食品の99%が常温で輸送されるため、廃棄率は約50%に達していますが、同社は生産者と消費者間の需給を正確に把握・制御し、サプライチェーン全体を最適な温度帯で制御することで、廃棄率を1%以下にまで抑えています。
生産者に対してはECを介しての販路拡大・安定収益、消費者に対しては品質の良さとさまざまな農家の商品が少量ずつまとめて買えるという利便性を提供する同社のサービスは、単なる価格競争力以上の付加価値を生み出しています。
マレーシアからシンガポールや日本へ。逆輸入も視野に
同社は、タイムマシン経営の発想で、30年くらい前の日本をベンチマークに産直ECを立ち上げたといいます。しかし、実際に展開すると日本にはまだ浸透していない発想や事業が見えてきました。Grab、Lalamoveなどの登場によってラストマイル配送のシェアリングエコノミーが発達している東南アジアでは、産地から消費地までの集荷配送をゼロから設計最適化することで、日本におけるECサービスと比較して、商品代に対する配送コストを圧倒的に下げることが可能になります。今後は先進国からの在住者が多いシンガポールや、日本などへのリバースイノベーションも検討しています。
アジアDXの挑戦を政府も応援
経済産業省では、国内大企業・スタートアップ企業が、アジアの企業等と連携し、デジタル技術を活用して社会課題を解決するための新産業を創造する「アジアDX」を支援しています。
SECAI MACHEは、「海外サプライチェーン多元化等支援事業(実証事業・事業実施可能性調査)」(事務局:ジェトロ)や「日ASEANにおけるアジアDX促進事業(ブーストアップコース)」(事務局:ジェトロ)に採択されています。詳しくは、経済産業省アジアDXプロジェクトページや各事業のページをご参照ください。
経済産業省 アジア新産業共創政策室
▶この記事で触れた事業
経済産業省 アジアDXプロジェクト
ジェトロ 日ASEANにおけるアジアDX促進事業 ブーストアップコース
ジェトロ 海外サプライチェーン多元化等支援事業
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